『たまには、早く起きてみようかな』
私は朝に弱いので、そう決意してもなかなか時間通りには起きられない。
だけど、ちょっとだけ早く起きられる時もある。
時間が空いた時は、音楽を聴きながら散歩をしたり、本を読んだりする。
すごく優雅な朝だ。
窓から太陽の光が差し込んでいる時なんかは気持ちもすっと穏やかになる。
いつもと少し違う、空気、気温、空の色。
たまにはこんなのも悪くないかも。
#10
#たまには
遥か遠く
私と貴方が目指しているのはそんな場所だった。
行くあてもないけれど、
ただただ、思うがままに歩いてみたかった。
この心の隙間を埋めてくれるのならば、何処でも良かったんだ。
雨の日も
風の日も
雪の日も
季節の情景に触れながら
ずっと貴方と旅をしたかった。
#9
#旅時の果てに
不安と後悔が多い。
–––––あの時ちゃんと笑えてた?
–––––変な目で見られてないよね?
–––––こんな重要なこと私にできる?
–––––みんなに合わせた方が良い?
–––––あの時どうすれば良かったの?
一つの不安が、あっという間に私の脳内を埋め尽くしていく。
毎日、毎日、尽きることはない。
やるべきこと
乗り越えなければならない試練。
「ああ、大したことなかったな」
って、いつも思うけれど。
#8
#安心と不安
海の底から見た景色はどんなだろう。
海の底には何かいたりするんだろうか。
この目に映る景色を、いつか見てみたい。
#7
#海の底
『ねえねえ、しょうらいのゆめってなに?』
『わたしはパンやさんになりたい!』
『コックになってりょうりつくる!』
『ぼくはサッカーせんしゅ!』
『あたしはおいしゃさんかな』
『いすずちゃんは?」
『えっ……と』
『ないの?しょうらいのゆめ』
『あ……ほ、ほいくし……とか、かな?』
『ほいくしかぁ。わたしはね、じぶんだけのおみせをひらきたいんだー』
……
〝将来の夢〟なんて。
小さい頃はいくらでも思い浮かべられる。
いつからだろうな。
自分の未来の姿をうまく想像できなくて。
「将来の夢は?」
そう聞かれるたびに適当に返していた。
あるときはお花屋さん。
あるときは保育士。
あるときは学校の先生。
夢があるみんなが羨ましかった。
「五十鈴?どうしたの?」
「っ……な、なんでもないよ」
「……五十鈴」
「なに?」
「悩みがあるなら、いつでも相談していいからね」
「……うん」
眩しい。
私だけ、取り残されているような感覚。
大人になれば見つかるよって
親は言うけど。
このままやりたいことも、夢も、見つけることができなかったのなら、私はどうすればいいんだろう。
ふとした瞬間に見つかるものなんだろうか。
「五十鈴、行くよ」
「あ、うん……」
またひとつ、ため息が出る。
#6
#夢