「雨上がり」
お葬式。俺の、愛する人のお葬式。
周り、みんな泣いてて、でも俺は涙一つ出ない。
感情が、無だった。何も感じなかった。
嬉しくもないけど悲しくもない、そんな感じ。
帰り道、みんながわざと明るい話をした。
暗い雰囲気を明るくしたかったんだろうね。
笑ってるけど、目は赤くて、どこか悲しそう。
俺はそんな空気の中、黙り続けた。
何も感じないのに、何故か心の奥深くがさ、
なんかもやもやするんだよ、分かんねぇけど。
晴れでも雨でもない、曇りみたいな。
実感出来てねぇのかな、もう彼奴がいないんだって。
こんなの夢だって信じてんのかな。
はぁ、素直に悲しめなくて、
現実逃避してる俺、うぜぇ。
【#149】
「渡り鳥」
土砂降りのように強く、辛く、
でも、夕立のように一瞬だった気もする。
僕らはその時を超え、
この地に辿り着いたのだ。
雨が晴れ、虹がかかった。
隠れていた青空も顔を出した。
肩に重くのしかかっていた荷物を
一気に下ろしたような感覚。
無駄に美しく見える世界。
よし、無事達成だね。
今日も生きてここにいる。
僕らの目標はそれだけだ。
【#148】
「これで最後」
ずっとお外にいたい。
美味しいご飯も、優しいお友達も、
僕が体験したいの。
もう君には頼らないよ。
運動苦手でも、笑うの苦手でも、
僕頑張るからさ、
僕は君になりたい。
ね、駄目かな。
【#147】
「歌」
貴方はあまりに可愛すぎた。
だから欠点をあげるんだよ。
モテすぎちゃうと困るから、
神様は試行錯誤してそれで、
今の貴方を、作ったんだよ。
【#146】
「そっと包み込んで」
完璧は何度でも再現できるのだ。
完璧は定義されていて、
それ通りに出来れば誰にでも出来るものなのだ。
では、失敗はどうだろうか?
失敗とは、完璧でないこと。
完璧でなければ失敗だ。
その失敗のバリエーションは数え切れないほどあり、
誰にでも同じようにできるものではない。
完璧は光って見える。完璧だから。
だが、貴方だけの失敗、世界に一つだけの失敗、
こちらの方が特別に見えてこないか。
失敗は悪いこと?いや、寧ろ良い事だ。
自信を持って自分を表現しろ。
失敗とは、自分自身だ。
【#145】