「星座」
「そんな勇敢なお前は星座にしてやろう。」
神様はそう言って私を空に羽ばたかせました。
人々が私と目が合う度、「綺麗だね。」
そう呟きました。
でもまさか私と目が合っているなんて
思ってもいないんです。
誰が誰だか分かんないけど、
とりあえず褒めているんです。
私の隣の星さんを見て「これは𓏸𓏸なんだよ。」って、
私の名前を言ったりするんです。
ちゃんと私を見て、私を褒めて欲しい。
私はなんのためにここにいるのでしょう。
神様はなぜ私をここに連れてきたのでしょう。
それでも今日も、ここにいなければなりません。
神様がそう仰ったのだから。
私を助けたいのなら、私の名前を呼んで、
そして褒めて。
ここにいることを。そして綺麗だって。
【#93】
「奇跡をもう一度」
あなたの真っ黒の瞳に映る私も闇に染っていて。
ハイライトも飛び去って。
きっとあの通行人が私のハイライトを奪ったのよ。
綺麗だった白い瞳も盗んだのよ。
前まで視界の端にすら、
映すことの出来なかった太陽は、
今は目も合わせられる。
嗚呼、貴方はそんなにも美しかったのね。
【#92】
「静寂に包まれた部屋」
心臓の音がする。
血が流れる音さえ聞こえる。
耳を塞いでもこの音は鳴り止まない。
うるさい、うるさい。
そうだ、自分でこの音を止めてしまえば……。
【#91】
「別れ際に」
緑色の飴を口に含んだ。
青りんご味なのかマスカット味なのか。
そっと唇に触れた貴方の舌。
嗚呼、キウイ味じゃないか。
そう囁いて、ゆっくりと反対側に歩き出した貴方は…
【#90】
「声が聞こえる」
あなタはだれ?
なにをはなしているの?
たのしみにスるって。わたしなにかいったっけ?
がまんしているの?いったいなにを?
きれいなそのめで、なにをみつめているの?
らくえんにいケたらいいな?ちがうか。でもわたし…
いま、そんなことをかんがえテいるよゆうはないの。
【#89】