【物憂つげな空】
自分が嫌になる時、大抵は空もなんとなく物憂つげになっている。
どんなに晴れていたって、嫌な気持ちになると、目にフィルターが掛かるようだ。
僕の心はガラス細工より脆く、誰かを傷つけると、ガチ目に凹むし、ガチ目に病む。
普段陰キャでしかないやつが人の足を引っ張ると、僕の存在意義が分からなくなる。
今日も、変なフィルターが掛かってる。
今日も、物憂つげな空だなぁ、
【小さな命】
道端にあるちいさな命。
姿形は小さいけれど、存在は偉大なんだ。
小さな命に僕等は生かされている。
【太陽のような】
太陽のような、陽気な笑顔
太陽のような、元気な性格
その全てに、僕は惹かれた。
でも、君が太陽なら、僕は月。
釣り合うはずなんてないのに、
どうしてそんなに優しいの?
君は心に決めた人がいるのに、
どうしてそんな笑顔を向けるの?
お願いだから、今日は曇りになってください
君の光が痛いから
【0からの】
新しい新居というのは慣れないものだ。
ただのだだっ広い部屋だけの家。まだ家具も何もない、0からの家だ。
家、と言ってもアパートだから家ではないのだけれど、と自分に言い聞かせながらここからの生活をどうするか考えてみる。
この時間が俺は好きだ。
元々、頭を使うことが好きな性格だから、イメージを膨らませている時間が至福だ。
0からの私生活。0からのイメージ。
「よし。まずは…」
「おっじゃまっしまーす!」
低くて根暗な俺の声とは大違い。元気で明るいこの部屋にはそぐわない声が響いた。
「……お前、何故来た?」
「え?LINEしなかった?」
「見たけど見てない」
「なんだよそれwちょっとした豪華な食いもんとか惣菜とか持ってきたから、一緒に食おうぜ!」
「嫌だ。断る。」
こいつは俺の友達だ。どんなに拒んでも結局は強引に俺を誘う。
俺の0からの私生活はコイツによってぶち壊されたのだった。
【同情】
―喫茶店の薫り―
「男子会しようぜ〜!賛成の奴手ぇ挙げて!」
声を発したのは無論、榎本だ。そして、案の定誰一人として手を挙げない。
「瀧君〜!手挙げようよ〜」
「嫌だ。面倒くさい。それより期末テストの勉強しろよ」
どこの高校行ってるのか知らないが、瀧の方が頭がいいことは確かだ。けれど、学校には行っていないらしい。昔色々あったのだろう。
「じゃあ、八木さん!堀川さん!勉強教えて…」
「あ〜、俺大学から色々書かなきゃいけないものがあったんだぁ!」
「俺、ちょっと今人生について考えてるから、忙しい。」
「八木さん、大学行ってないでしょ。堀川さんは悩みが膨大すぎる」
すかさず瀧がツッコむ。何故ここにはまともな奴がいないのか、と呆れる。
いや、でももう一人いたな、と考えていると、軽快な鐘の音と共に誰かが入ってきた。
「こんにちは〜。あんたら、何しとん?」
こってりな関西弁で入ってきたのは喫茶店の店員の一人、叶だ。
叶は見た目こそ、バリバリの女の子だが、中身の性別は男。女装が趣味の関西人だ。年齢は瀧や榎本より高く、八木や堀川より低い。百花と同じ年齢だそう。
「聞いてよ〜!叶ぅ!」
「えのき、どうしたんかいな?場合によってはぶっ飛ばすけど、一応話は聞くで」
「皆が冷たい〜」
「なるほどな。そら、えのきが悪いわ。」
「えのき言うな!てか、同情せい!」
叶は榎本に興味を失ったらしく、瀧に目を向けた。
「おぉ~、瀧君、偉いなぁ。そら、優しいお姉さんが教えてあげるわ」
「あ、ありがとうございます。ここなんですけど…」
「え!?嘘!フル無視!?」
榎本がショックを受けていると、猫の権左右衛門ちゃんが駆け寄ってスリスリしてくれた。
「……お前ぇ…、いい権左右衛門だな……」
猫に同情されている榎本なのだった。
今日も喫茶店には優しい色に染まっている。