秋なすは嫁に食わすな
秋のナスは美味しいから嫁に食べさせるのはもったいないという意地悪姑のことわざかと思いきや
ナスという夏野菜は
体を冷やす効果があるから
嫁の身体を冷やしてはいけないという気遣いとも言われる
なんで身体を冷やしてはいけないのか
その根底には「嫁」は「子供を産むためにいる」という
気遣いの仮面を被った
性別で役割を押し付ける性差別が含まれてるともいえる
ああいったらこう言う
捉え方ひとつで解釈が反転する
生きにくい世の中である
でもさ、
ごちゃごちゃ言ってないで
美味しい季節物は、美味しく食べたいものだね
声が聞こえる
(保留)
ん?なにそれ?お土産?
ああ、姉貴からの嫌がらせのプレゼント
いや、嫌がらせとは限らないでしょ
嫌がらせだよ。だってもう9月だよ?
ん?
今年の……カレンダーだったんだ。中身。
ああ……
しかも
うん
日めくり
うわぁ……腕の筋トレってことじゃない?
§カレンダー
グループLINEに通知がある
「〇〇日あいてる人いる?」
私はこの質問が嫌いだ
何の用か判明するまで
開けないLINE
既読を付けたくない
誰か聞いて
彼女の用事を……
§開けないLINE
昔からファンタジー小説ではよくある場面
邪神を呼び出す為に生贄を捧げ、
いざという時に主人公たちがやってくる
結局、生贄は助けられ
邪神は不完全な状態で呼び出される。
主人公側からしたら
完全体には絶対敵わないのだから
当然のストーリー進行だけど
邪神からしたらえらい迷惑である
呼び出す奴もさ?
おのれ!とか捨て台詞吐いて
チリと消えろとか息巻いて
不完全な状態で呼び出しておいて
主人公に倒される
任命責任とか問えないのかな
気の毒だ……
とても気持ちが分かる
邪神側の、だけど
どこまでも不完全な僕
期待を一身に背負いながら
丸投げという白羽の矢がたった
大抜擢かもしれない
でも、これで輝けるのは
やはり主人公だけなんだ
圧倒的準備不足のまま
本番に突入
不完全であることを
人に悟られないようにするのが
精一杯だった
それなのに、
多分負けたのに、
不思議と賞賛された
こんな不完全な僕なのに
少しは認めてあげてもいいのかな