スペリオル

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6/6/2024, 2:59:22 AM

スマホを修理に出しにショップに行った

店員さんに
電話番号はわかりますか?
と聞かれ、

「えーつと……夫のスマホなんです」
と答えた

怪しかっただろうか
訝しんだ顔をした店長さんに
「今朝旅行に行く夫のスマホが故障したので
私のを貸して代わりに修理にきたんです」

SIMカードを入れ替えるだけで
本体はそのまま使えるし
幸い同じメーカーのものを使っていたので
旅行先で友達と連絡が取れないと
困るだろうと貸したのだ

本体に写真やアドレス、メールなどが残るため
店員さんに
「ご夫婦で、秘密とかないんですか」
とたいそう驚かれた

そうか
そういえば特に秘密とか
考えもしなかったな

まあ少なくとも
誰にも言えない秘密は
スマホには残さないものだが

6/5/2024, 4:15:00 AM

狭い部屋が好きだ

昔から視界に入らない部分が怖かった

空間や闇には何かが潜んでいると思ってしまう

だからシャワーで目を瞑るのも
最短にしている


一人暮らしをする時に選んだのは
ワンルームの狭い部屋
これで使わない部屋はない

ほっとした瞬間

カタリとユニットバスから音がした

6/4/2024, 2:13:35 AM

失恋したくて恋をした

だって先輩が
私の書く歌詞にはリアリティがない
失恋したら、いい詞が書けるって言うから……

誤算だった

どうして、

こんなに辛いものだって
先に教えておいてくれなかったの

6/3/2024, 5:47:32 AM

うちのじいちゃんは偉い人だった
偉い人だから多分大人の嘘を沢山吐いてきたと思うけど
子どもや孫には
「正直に生きろ」とよく怒った

80歳をこえて体を壊し検査をした
病院からは
胃潰瘍と診断された

じいちゃんにそれを伝えたら
「あのな?正直に生きなさいと教えただろう?

ちゃんと言いなさい」

「……本当は、

癌なんだろう?」

沈痛な面持ちに
言いにくかったが

「本当に
胃潰瘍だよ」
と医師の診断書を見せた

じいちゃんはしばらく食い下がったが
やがて納得した

そして90歳まで元気に生きた

私はそういう
人生に一度くらい遭遇する
真面目なシーンで
ボケをカマしてくるじいちゃんが本当に好きだった

これからも正直に生きてくよ
じいちゃん

6/1/2024, 8:20:42 AM

「やっぱり白無垢かしら
ちょっと値段ははるけども、
一生に一度だものね」

準備された婚礼衣装みて
白装束が
まるで死地に赴く衣装のように感じた

やっと見合いで決まった結婚相手
とうの立った娘に
親が探してこられる相手は
バツイチのおじさん

別に好きでもない相手

だけど最後の親孝行と思い
承諾した

白無垢にあわせる角隠しは
女が般若にならないようにとの
まじないでもあるらしい

しかし女が般若になるのは
夫が浮気をした時なのでは?

男にとって都合のいいまじないもあったものだ

将来を約束し10年以上半同棲をしていたのに
浮気をされて
あっという間に終わってしまった彼の顔が
頭をよぎった

こうなったら
意地でも幸せになってやる
そうか
白装束は決意の証でもあるのか

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