私は愛されたことがない
誰も私を愛してくれない
クラスの人気者の紗良ちゃん
いつも沢山の人に囲まれてる
何をしなくても愛されてる
私は?
私は悪い子だから?
こんな私にも愛をください
【ないものねだり】
物心ついた時から気づいてた
“僕”は周りと違うって
母は僕に可愛い服を着せて
髪も毎日違うように可愛く結って
持ち物は可愛い物で常に溢れてた
部屋も可愛いぬいぐるみが沢山で
可愛い家具が綺麗に置かれてて
本棚も少女漫画が並べられてた
けど、僕がほんとに好きなのはそんなのじゃなくて
かっこいい服も着たいし
髪も短くしてかっこよくセットしたいし
かっこいいっていわれるような物が欲しい
部屋もぬいぐるみは要らないし
家具もシンプルがいいし
本棚には好きな漫画を並べたい
僕は可愛いが好きじゃないのに
“私”は可愛いが好きじゃないのに
【好きじゃないのに】
今日は卒業式。
あっという間の3年間だった。
これまで、進路のとこでたくさん話を聞いて
一緒に悩んでくれた先生方。
同じ教室で沢山のことを学んで
一緒に努力してきた友達たち。
みんな、それぞれの道をゆく。
就職活動が苦で、諦め、他の道へと歩む人もいた。
逆に、諦めずにその道へと一直線に進み
努力が報われた人もいた。
僕はどうだろう。
一人一人が、満足する道へ行っている中
僕も満足した道へと進めてるのだろうか。
僕は誰よりも のんびりで マイペースで
判断が遅く 迷ってばかりだ。
3年間学んできて僕は
やっと1年生の土台に立てたくらいだ。
あっという間に 過ぎていった日々
僕は今 ちゃんと立てているのだろうか。
自分の足で 進むことができるのだろうか。
いや、出来ないじゃない やるんだ。
今までの3年間を、自分のものにするんだ。
過ぎ去った日々を大事にして。
【過ぎ去った日々】
「霜秋さん、おはようございます。今日も起きるの早い
ですね。」
そう言って病室のカーテンを開ける看護師さん。
「あ、おはようございます。目が覚めちゃって...。」
「早起きは三文の徳ですから。ベッド起き上がらせますか?」
「お願いします。」
半月前、私は心臓発作で倒れ、病院に救急搬送された。
医者が言うには、稀に発症する難病で、余命は3年。
今まで何となく生きてきたけど、いざ余命宣告されると
くるものがある。
余命宣告されてから3ヶ月経ったある日、足が動かなくなった。それから少しずつ、下半身が動かせなくなり。
今では、ほとんど寝たきりの生活だ。
ふと 窓から庭を見下ろすと、常緑樹が目に入った。
「朝食持ってきましたよ。...常緑樹、気になりますか?」
ご飯を持ってきてくれた看護婦さんが、そう言った。
「ありがとうございます。はい、少しだけ。」
「あの木は、ちょうど霜秋さんが入院した頃くらいに植えたもので。あと2年と半年で枯れてしまうでしょう。」
「...そうなんですか。」
あの常緑樹は、私と同じ寿命なんだ。
私よりかは短い命。 でも、これからは同じ。
一緒に生まれ、一緒に枯れていく運命。
「風が気持ちいいですね。」
「そうですね。天気もいいので、散歩でもしますか?」
「いんですか?では、あそこの常緑樹のとこに。」
「分かりました、準備しますね。」
「...近くで見ると綺麗な緑色してますね。」
「ですね、とても綺麗です。」
これから一緒に枯れていく身として挨拶を。
常緑樹さん、また来ますね。
枯れるまで、お互いがんばりましょう。
【枯葉】
朝が来た
静かに日が昇り始めて
子鳥のさえずりと共に目を開けて
朝日を浴びて、気合を入れて
今日も1日 歩いていく
お疲れ様
目を閉じれば、夜がやってくる
長いようで短い時間
おやすみと、一言添える
【今日にさよなら】