子供の頃から慣れ親しんだ
故郷の道から栗の花が消えた
その道は今も昔のまま
落葉広葉樹の山にかこまれている
春にはツツジや藤の花が咲き
畑には菜の花が咲いている
でもただ栗の花が無くなった
道沿いに有った栗の木も
栗の木が広く植わっていた場所も
みんな切り倒してしまった
そして6月に栗の花を
あちこちに当たり前のように
舞っていたゼフィルスと呼ばれる一群の
蝶は姿を消してしまった
ただそれだけ
人間にとって何も問題は無いことだ
蝶よ花よ
僕はもうこんなところまで来てしまったよ
私がこの町でひとり生きていくことも
私がお金に苦労することも
私が山を好きになることも
私がマロンを飼うことも
きっと最初から決まってた
私が今日朝早く目が覚めることも
私が今日卵焼きを作ることも
私が今日枝切りバサミを買うことも
私が今日あなたを何年ぶりかで思い出すことも
きっと最初から決まってた
人が今日毒を流すことも
人が今日地球温暖化を語ることも
人が今日餓えに苦しむことも
人が今日ダイヤモンドを贈ることも
きっと最初から決まってた
人が今日道をつくることも
人が今日ドラッグに溺れることも
人が今日人を殺すことも
人が今日愛を語ることも
きっと最初から決まってた
人がその日少なくなった仲間とともに
海を見てただ佇んでその時を待つ頃には
人が人の決められたパターンに沿った行動を
理解して自分たちの暴走を止めることができるだろうか
君の生まれた集落は
山が迫り川が流れ
火の見櫓が一つありました
アスファルトの道
照りつける太陽
手土産を持って
バス停から少しだけ
もうほんの鼻の先
その時私は聞いた
鐘を鳴らす村人の
ささやかな生活を
それはそれは
とても尊く哀しいほどに
遠く感じて
心を強く揺さぶった
目が覚めるまでに心にあらわれる爪の鋭い毛むくじゃらの生き物
激しい怒りを切りつけろ奴を傷だらけにするんだ
いまわたしは殺されようとも立ち向かっていく戦士になる
その素早い身のこなしで奴の剣を交わしながら追い詰めろ
その素早い身のこなしで奴の剣を交わしながら追い詰めろ
毎日毎日時間に追われてやることばかりで忙しく
人にまみれて人に使われなんのために生きているのかわからなくなる
人生なんてそんなものそんな冷めたこと言う奴もいるが
空を見上げて山を見上げて
明日もし晴れたらあそこへ行こう
僕を見下ろすあの頂上へそしてこの街を見下ろすんだ
そう思い始めた登山
私にとって今ではこのために生きていると言えるものになった
君もそう生きていることがつまらなかったら上を向こう
そこに山があるならその山に登ること想像してみるんだ
いつも小さく生きている君の街を山に登り全部見下ろしてやるんだ!