高く高くそびえたつビル群に
圧倒されていたあの頃
今は見慣れた風景になった
あの頃は不安だったが
前を向いて進むしかないと思っていた
今は不安しかない
前に進むための何かをどこかに
置いてきてしまったように
目標とかも特にない
ただ毎日を生きていく
いつか読んだ本のように
どこかに旅に出たくなる
1度行ってみると違うのかもしれない
そう思っても踏み出せない
何かを変えたい
そう思って眼鏡を買った
今まで見てた風景が少しだけ
変わった気がした
何でもできる
何にでもなれる
そう思えるのはいくつまでなんだろう
何かをするのに遅いなんてことはないと
誰かが言っていたけど
それはやる気があるかどうかな気がする
何もする気になれない
明日になるのが怖いこともある
子供のように前だけを向いていた自分は
どこに行ってしまったんだろうか
どこかにいるその自分を
探しにいくべきだろうか
今はそんなふうにさえ思う
いろんなことを経験して
腐ってしまった自分
もう1度チャンスがあったら
自分は何をしたいんだろう
考えてみてもわからない
朝目が覚めて
何がしたいか考えてもわからない
誰か教えてほしい
何をすればいいか
考えられないなら
そのまま寝ていようか
お腹が鳴る
とりあえずご飯食べよう
炊いてあったご飯
インスタントの味噌汁
ひと口食べたら
涙が出てきた
何でもできる
ホントにそうなのかもしれない
放課後
2階から見えるグラウンド
友達とじゃれ合うきみ
楽しそうに笑ってる
そこまで走って行って
一緒にじゃれ合いたい
そんなことできなくて
今日もきみを眺めてる
ふと目が合った
慌てて目をそらす
もう1度眺める
またきみと目が合う
小さくきみが手を振ってくれた
今日はいい日だ
カーテンが動いている
ゆらゆら
きっときみがいるんだろうな
もう少しだけ見ていようか
ゆらゆら
ガシャン!
ビリビリ
カーテンレールと
カーテンの悲しい音
ひゅんっと飛び出したきみが
僕の隣を走り去る
カーテンの隙間から外が見えた
頬を冷たいものが流れた
最初は何だかわからなかった
しばらく話すのをやめようか
きみからそう言われたとき
僕はホッとした
これで僕は自由だ!
そう思ってさえいた
それなのに
どうして涙が頬を濡らすのか
これは後悔…?
今の僕にはわからない
ただ止めることができない
そっか
ただきみと一緒にいたいと
思っていたんだ
ただそれだけだったんだ
空には星が輝いていた
きみは同じ空を眺めているだろうか
もしそうなら嬉しい
きみが笑っている気がした