すらいむ

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11/3/2021, 12:43:04 PM

【鏡の中の自分】
学校の七不思議の一つ「移し鏡」
その鏡の前に立つと、別の世界からの自分が映るという。
私は、試しに移し鏡の前に立ってみた。
鏡の中に、別の世界が作られる。
これは、うちの学校の教室だろうか?
一人の少女に目が付いた。
さらさらとした髪、茶色の眼鏡、くすみががったピンク色のセーター。
少女はこちら側に振り返った。
私の顔。
「あなたは誰?」
驚きのあまりに、声をかけてしまった。
そういえば、奥にいる三つ編みの少女は誰だろう?
本を読んでいるように見える。
どこかで見たような…
鏡の中の少女はクスッと笑った。
「私は、あなたの理想の世界に住んでいるユメよ。」
理想の世界…
「まだ驚いてるみたいね。これがあなたの望む世界でしょう?痣ひとつない顔で過ごすこと。無視されずに過ごすこと。友達がいること。ここではあなたの望みがすべて叶っている。」
羨ましい。
本当に、本当に、本当に、羨ましい。
何故別の世界で私の望みが叶っているのか。
何故現実じゃないのか。
「…」
私の欲望は怒りに変わった。
「私は今とても幸せだわ」
ユメはニコニコしながら言った。
「やめて!もう喋らないで!こっちは辛いんだよ!幸せだとか、望みが叶っているとか、訳分かんない!もう顔も見たくない!」
怒りのあまり鏡を割ってしまった。
今まで映っていた教室の景色はなく、普通の鏡に見えた。
私は我に返った。
「え?なにこれ?鏡割れてる…もしかして、ユメがやったのかしら。まあいいや。帰ろ。」
主人格である私、キセキは三つ編みをほどいて、読みかけの文庫本を手に取った。


11/3/2021, 8:40:14 AM

眠りにつく前
毎回毎回
嫌な事ばっか
辛いことばっか
思い出して
自分のことが
嫌になる
嫌いになる