こたろー

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9/13/2024, 3:26:29 PM

夜明け前が1番暗い、とか何とか誰かが言ってた気がする。と月明かりすらない窓の外をぼんやり眺めながら考える。あぁこのまま日が昇らなければ、この闇が続いてくれたら…こんな気持ちになるのは君のせいだろう。隣で眠るアホ面に少しだけムカついて鼻を摘んでやる。驚いて起きた君は数回の瞬きの後、こっちを見て笑う。その笑顔がこの世で1番明るい気がして、また少しムカついた。

「明日早いからはよ寝よーや」
「見送りたいから起こしてね」

“夜明け前”

10/23/2023, 3:49:12 PM

東京なんて飛行機ですぐじゃん。なんて笑いながら言うお前に、そういう事じゃねぇよって笑って返した。あの日から1年が経とうとしている。相変わらず地元で燻っている俺は、どこまでも続く青い空に飛行機が飛ぶのを見る度、あの日のお前を思い出す。

「だからってお前が帰ってくることないだろ」
「飛行機怖くて地元から出れないくせに。」

“どこまでも続く青い空”

10/22/2023, 3:30:40 PM

やっとこの日が来た!ドキドキと胸を高鳴らせながら、随分と前に洗濯を済ませておいたセーターに袖を通す。甘い柔軟剤の香りに包まれ、自然と笑みがこぼれる。今日から冬服、冷たくなった風を切りながら学校へ向かう。少し浮かれすぎてお弁当を忘れたことにも気付かなかった。

「あっ!俺のセーター!!お前が持ってたのかよ。」
「今年もお世話になりまーす!!」

“衣替え”

10/21/2023, 4:45:35 PM

ステージから降りてきた先輩は俺を見つけると嬉しそうに走ってきた。爽やかな汗を流しながら、さっきまでファンに向けていた笑顔を俺だけに向けてくれている。声が枯れるまで歌い続けてたのに、カスカスの声で必死に話しかけてくれている。この瞬間を見れるのは俺だけ、そう思うと幸せが込み上げてくる。

「今日のライブどーだった?格好良かった??」
「めちゃくちゃ格好良かったですよ。」

“ 声が枯れるまで ”