夏の気配
キュキュと独特の擦れる音がする床。重力が無いかのように軽やかに宙に浮くシューズ。高く跳んだ君。手から離れたボール。綺麗に弧を描いた軌道。音も無く揺らされたネット。サラサラの髪が張り付く額。茶色ばかりの背景によく映える鮮やかな赤色のユニフォーム。蒸された体育館の匂い。ああ、夏の気配がする。
まだ見ぬ世界へ!
みんなが当たり前のように前を向いて同じ方向に向かっているのが怖かった。本当にみんなが向かっているのは正解なの?なんでこの場にいれないの?私は怖いよ。みんなが笑いながら、楽しそうに、希望に満ちた言葉を発しながら歩いているのにそんなことは言えなかった。それでも君だけは立ち止まった私に気づいて、一緒に行こうと笑いかけてくれた。あの時に君が振り返ってくれなかったら大好きなこの場所に辿り着けなかった。新たな世界に連れてきてくれてありがとう。
小さな愛
恋ばかりを追い求めて、ときめかなくなってしまった君に、思わず別れを告げた。今更、育ちかけの小さな愛はここにあったと気づいてももう遅い。
空はこんなにも
空はこんなにも綺麗なのに、なんで自信が無いんだろう。いくら綺麗だと言ってもかわいいと言っても空は素直にそれを受け取れない。他の女の子にそんなことを言ったらすぐに顔を赤らめてくれるのに。誰にかける何の言葉よりも空への褒め言葉は本心から来るものなのに。いつかそれを素直に受け取ってくれますように、と願いながら今日も声をかける。
子供の頃の夢
子供の頃の夢はアイドルだった。歌って踊るかわいいアイドル。そんなものにはなれずにサラリーマンになった今でもアイドルにはハマっている。社会人していて気づく。自分はどう考えても応援する側だったのだ。激務でひたすらパソコンと格闘する毎日でも、ふとした時に目に入るパフォーマンスに勇気づけられる。少しだけ頑張ろうなんて柄にもないことを思える。応援しているようで応援されていることの方が多いのだ。だからいつか面と向かってありがとうと伝える日が来ることを願って今日も目を瞑る。