あなた
憎いあなた 愛しいあなた
わたしが勝手に
あなたを見て苦しがる
あなたは人形みたい
わたしに気持ちを味わわせてくれる
そんな人形みたい
いつかあなたはボロボロになって
わたしは興味を失うだろう
わたしは自分のみにくさに少し泣いて
そしてまた忘れてしまう
薄情にさばさばと年をとってゆく
好かれることがしあわせとは限らない
しあわせそうなことがしあわせとは限らない
発達障害、という言葉を聞くと
どきりとする
不安感をもたらす言葉なのだ
わたしにとっては
人によってはそうではないのだろう
讃美歌を聴いて心地よいと感じる人と
ソワソワするという人、どちらもいるように
不安はすこし刺激的で
刺激物はくせになりやすい
最後にほしいのはほっとする安心感
ハッピーエンドの大団円なのに
ずっとゆりかごに揺られている大人はいないし
そんなものなのかな
わからないけど
余計なことを考えられるのは
きっと平和ということね
美しい女性が容姿を褒められるとき
若さを褒めそやされるとき
そのひとは少しだけ思っている
いつまでも続くものではないと
醜いと、誰かがその女性を嘲笑うとき
美しい女性は同じように笑わない
いつかそうなる可能性は誰にだってある
偶然なのだ
たまたまの幸運
努力あっても 最後まではかなわない
老いない生きものなどいないし
老いないものは死んだものだから
生きものであることを
美しいと言う人を
尊いと思う
寂しいな
と言う 言葉が
殺風景な部屋の
寒い空間に吸い込まれていく
いつのまにか扉があらわれて
おそるおそるドアノブをひねると
その向こうには金色の野原が広がっていた
一歩足を踏み入れる
もう元の世界には帰れないような気がした
すくむ
いいのかな でも 寂しいのなら
あちらはもしかしたら 暖かく
寂しくないのなら
えいや、と地面を蹴った
ああ さよなら 寂しく懐かしい世界よ
にぎやかな冒険がはじまるよ