NoName

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9/3/2024, 12:53:34 AM

友だちでいたいって
そんな損なことですか
わたしの自由を奪いたいの?
意思を尊重されないとしんでしまうよ
気むずかしい植物みたいだけど
ちぎらないでよ
むりにそばに置いたって
あなたは枯らすでしょう
あなたは枯らすでしょう
わたしの甘い水を返して
空気を奪わないで
このまま咲いていたいだけ
見にこなくたっていいよ
生かしてよ

8/31/2024, 3:08:38 PM

いま いまね
言い寄ってくる人みんな
誰かにあげる
わたしを選ばないで
忘れてしまって

あなたがいい
わたしはあなたがいい
届かないけどそう思う
他じゃ意味ないの

さみしそうに笑うあなたがいい
何かを言いかけて
タバコを吸ってるあなたがいい
どこにも行かないで
いかないで

8/5/2024, 4:22:16 PM

寂しい
わけもなく寂しくて
これだけ蝉は騒がしいのに
家族はそばにいるのに
鳥は肩にとまって歌うのに
寂しい
バチあたりかな 恐れます
寂しいが背中にいるから
はがしてほしいだけなんです
不幸面したいわけじゃない
なんでもない顔で歩きたい

空想のなか 旅をして
鐘の音は遠くに
まんまるの白い月 夜の海は秘密の生き物のよう
風が鳴いている
寂しい、と涙が流れたら
嗚咽に溶けてわんわん泣いたら
こんなはずじゃなかったと
たくさん悔いをまき散らして
海も闇もヒトの輪郭もわからなくなって
泣いて わけのわからない罵りや
憤りを、怨恨を、やるせなさを
滔々と

耳がぼんやりして
頭の芯があったかくて
空洞で
ぽっかりしていて
寂しさは
どこかにいったみたい
誰にも見せられない自分になったら
やっとほっとしたんだ よ

7/22/2024, 2:49:34 PM

あの浜辺で
ひとりの女の子がぽつんと座り
海を眺めています
何をするでもなく
波が寄せては返すのを
ながめています
何も起こらない景色
でも小さく何かが起こり続けている
波が砂の上で遊ぶのを
雲がゆったり形を変え東へ流れていくのを
ながめています
声をかける必要はなく
ほうっておけばいいのです
気が済むまで海をながめる自由を
彼女に与えてあげてほしい
一生は一度きりならその自由を
どんなショーウィンドウにも飾れない自由を

蟹がさわさわと歩いて
貝の中から何かがのぞく
濡れた砂場で小さな気配たち

波の音 風の音 耳の中の音 身体の中の音

さっき過ぎた波
もう二度と会えない波
さっきした呼吸
もうあとかたもない昨日

次の波が また 



7/14/2024, 3:15:47 PM

去年のことが愛おしい
あのころどぎまぎしていた私に
もっと信じて大丈夫だよと
声をかけてあげたいぐらい
もっと受け取ればよかったのに
あのひとはたくさんあげたがっていたのに ばかだな
今年のわたしはなんにもなくなっちゃって
ちょっとみすぼらしいから見ないでほしい
キラキラしていたな 
よかったな そのときは気が付かなかっただけで
いっぱい幸せだったんだな
きっと今も 今もどこかにキラキラ
見えにくいけど 気づきたいな
あの人はここにいないけど それでも
泣いてばかりも悲しいからね
きっといる きっとある
愛している

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