長い長い恋が終わりました
きっとありふれた話
見返すと途方もない
無駄のかたまりのように思えて
全身の力が抜けてしまいそう
その間に手に入れたもの
失ったもの
失ったこと
失ったひと
たった一つの願いがあったのに
いつのまにか色褪せて
消えてしまった
ほんとうに大切だったのは
なんだったのかしら
身体はゆらり 鼓動を打って
相変わらずの呼吸が
ここにまだ生きている
この身を連れて
明日もゆかねば
いつのまにか
時代においていかれちゃった
すがりつきもしなかったから
あたりまえかな
喫茶店で話してる厚化粧のお姉さんたち
ずっと私より年下だろうけど
ずっと大人に見える
知らないことばかり
知らない文明ばかり
誰のために開発するんだろう
少なくとも私のためじゃない
新しい宅地も望んだことないし
私が欲しかったのは昔からの田園だもの
着飾らない気さくな人たちだもの
ここにいたくないな
宇宙人よ もしいるのなら
暴れてあらそうのを止めるよう
地球のむごい武器を消してほしい
そんなことしてる場合じゃないとあわてるように
宇宙人がどうにか
あらそいを仕掛ける地球人をおどかして
平和にみちびいて
それぐらいしか祈れない
小さいわたしを許してほしい
平和しか知らないまま一生を終えたいの
どろりと
レバーのようなかたまりが
お風呂場の排水溝に詰まる
なんだかかなしい
ただでさえ痛みのダメージがあるのに
汚れたパジャマを洗って、なお
排水溝の髪の毛に絡まったかたまりを
ティッシュでぬぐう
冷えた足先と太もも
容赦のない痛み
もう一度浴槽に浸かって気持ちをなぐさめる
少しぬるくなっている
涙が水面に跳ねた
仕事場に行く気にならない
我慢を重ねて
いつになったら解放されるの
何でもないふりをして
一年中元気な人間の演技なんて
むなしくてかなしい
それはわたしではないもの
わたしはどこにいるの
今ごろきっと
相変わらず電子タバコを吸ってる
つんとした鼻先で
幸せをこばむような冷めた瞳で
遠いところで愛想笑いしてる
あなたはしらないでしょ
何気ないあなたの背中は素敵なのよ
へんに凄んでみせるより
どんなに格好つけるより
何気ないときのあなたは魅力的なのよ
どうか飾らずに
卑屈にならずに
あなたは美しいから
心配しないで