どうか 恨まないで
しあわせそうな人をみて
笑顔で感じの良いことを言いながら
内心のどす黒い靄
あなたが恨みたくなる気持ち わかります
ちっともおかしくありません
そうなっても仕方がないでしょう
だけど すこし
恨むのをやめて わたし
そんなに恨んだら
頑張って生きてきたわたしが泣いてしまう
恨みたくなるね
わかるよ
だけど 顔をあげて
いい人じゃなくていいから
せめて綺麗なものを見よう
いとおしい、とは違う
愛してるとも違う
好き、もなんか違うし
親しみやすい、も違う
ずっと
あなたとの間に挟まれる感情の名前が
見当たらなくて
どうしたものかと思う
憎しみ、とも違うし
哀れみでもない
ただ とんでもない魅力をあなたに感じている
それはホルモンのしわざなのか
数年経てば冷めてしまうのか
わからないけど
どうかお元気で
あのひとと付き合っているとき
いつも無理してた
頑張ってるわたししか
好かれてなかったから
いつも綺麗にメイクしないと
愛してもらえなかった
体調管理がんばって筋トレして
仕事をがんばって
機嫌を乱したりせず
いつも笑っておだやかで
それはわたしじゃなかったから
ああ かれは
わたしじゃない人を好きなんだなと思った
それはわたしじゃない
わたしはもっとぐうたらで
ほっといたら夕方まで寝てるし
メイクも気分しだいだし
出世欲もない子どもみたいな中身だし
喜怒哀楽だってしっかりある
勘違いして怒ったりするし拗ねたりもする
それがわたしなの
わたしを好きになる人がこの世にいるのか
わからないけど
わたしじゃないものになり続けるのはしんどいから
いないならいないでいいよ
わたしは、それでも生きるよ
長い長い恋が終わりました
きっとありふれた話
見返すと途方もない
無駄のかたまりのように思えて
全身の力が抜けてしまいそう
その間に手に入れたもの
失ったもの
失ったこと
失ったひと
たった一つの願いがあったのに
いつのまにか色褪せて
消えてしまった
ほんとうに大切だったのは
なんだったのかしら
身体はゆらり 鼓動を打って
相変わらずの呼吸が
ここにまだ生きている
この身を連れて
明日もゆかねば
いつのまにか
時代においていかれちゃった
すがりつきもしなかったから
あたりまえかな
喫茶店で話してる厚化粧のお姉さんたち
ずっと私より年下だろうけど
ずっと大人に見える
知らないことばかり
知らない文明ばかり
誰のために開発するんだろう
少なくとも私のためじゃない
新しい宅地も望んだことないし
私が欲しかったのは昔からの田園だもの
着飾らない気さくな人たちだもの
ここにいたくないな