NoName

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11/11/2025, 2:49:38 PM

ほんとは
勝つとか負けるとかに
興味はなくて
ただ何もしたくないのだ

ほんとは

うつなのかと言われたら
そうではなくて
何もしないことがしあわせなのだ
ネコに似ている
蝶を眺めて 退屈したら寝て
愛想よくもせず
なんとなく生きていたい
ほんとは

結婚しなくてもいいし
仕事もそれほど向上心はない
何かを達成しなくてもいい
ぼうっとしていたい
金木犀のにおいにうっとりして
あたたかい岩の上に寝そべりたい
たまに流れ星がみれたらラッキーだ

ほんとは
何もしたくない
だけど言えないから
人間のふり
人間のふり

10/30/2025, 3:14:34 PM



終わりを告げた
けれども
わかったのはひとつだけ
あなたに愛されたかった
慈しまれたかった
そのひとつだけ
気づけばわたしばかり愛して
慈しんでいた
もうあなたはいないし
からっぽの空間に名前を呼ぶだけ

10/2/2025, 4:17:24 PM

あの人はやめなさい
ママは言った
どうして反対されると気になるのだろう
それならあの人にしなさいって言えば
わたしは興味をなくしたのかも
しれないのに

ママに似ていたの
困ったときの顔が 怒る唇が
鼻の形が 不器用なやさしさが
ママに似ていた

車窓を眺めて
あの人ときた町を横目に
わたしはそれ以上遠くへ行く
ざまあみろ
思い出は日々色濃くなって
あなたはどんどん遠くなる
忘れた日が一日もない
だからずっと遠くへ行かなきゃね
知らない町と 知らない人に会って
目まぐるしくしなくては
たくさん忘れていかなくちゃ


9/26/2025, 3:17:12 AM


仕事をやめた
あの人は言った
「こんな時期にやめるなんて信じられない」
体調が悪く、
面接会に行かなかった
あの人は言った
「いつまでそうしてるつもりなの?甘えているわ」
「みんな身体を壊しながら頑張っているのに」
あの人は言った 何かしらを
顔も見たくないとか 認めないとか そのようなことを
見なければいいし
認めなければいい

そのうち、あの人たちはどこかに行ってしまった

仕事をやめたとき
行きたくない用事を休んだとき
わたしの身体は言った
「ゆっくりしてくれてありがとう」
「おかげでゆっくり空気が吸える。助かるわ」
お茶がおいしかった

わたしの身体はどこへも行かなかった
あの人たちとは違って
いつまでもわたしのそばにいた

見て聴いて触って味わって嗅いで
わたしの身体はここにいた
きっと死ぬまで一緒だろう








9/12/2025, 3:14:44 PM

ニュースの上澄み
世界はどこでも物騒で
油断できないという
実際いったこともない街
話したこともない人たち
今日は何を食べたんだろう
どんな靴を履いてたの
何も伝わってこないよ
一日中しかめっ面ってことはないでしょう?
わたしのことも知られることもない
黒い蝶々に見惚れたこと
台風で水かさが増えた湖がうれしかったこと
今日も熊は見あたらずほっとしたこと
父といったススキ野原を思い返して泣いたこと
何もないけど生きているよ
それでもいいんじゃないかな




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