『降り積もる思い』
私が彼女に恋をしたのはいつなのだろう。
自分が人とは違うと認識してからだろうか。
自分の恋が世間では許されないと知ったからだろうか。
日に日に増すこの想いはもう私には抑えることが出来なくなり、違うもので霧散させるが溶けてしまった真っ黒な雪だけが私の心の中に残る。
一度も彼女に「好き」と伝えることが出来なくて
いえ、「好き」自体は何度も伝えていました
ですがあなたを心から愛していますとは言えなくて
貴方を思う度に涙だけが溢れかえり、私の気持ちは一生貴方に伝えることができなくて
私は、貴方の幸せを心から願っています。
だから、お願いだから、泣かないで、下を向かないで、私のことを忘れないで──……。
『手のひらの贈り物』
「ねぇ、クリスマスプレゼント、何が欲しい?」
姉にそう聞かれた私は姉の目を見ずにそっぽ向いて答えた。
「……お母さんが欲しい。」
姉はおそらく悲しそうに笑っていただろう。
ごめんね、と言う姉の声は掠れていた。
「お母さんはなんで帰ってこないの」
なんで帰って来ないかなんて、わかってる。
お母さんは私たちのことが嫌いだからだ。
じゃなきゃ、おかしい。
こんなこと聞いても現実は変わらないし、未来も変わるとは到底思えないけど、私は何度もその問いを口にした。
その度に姉はごめんねと謝り、私を抱きしめてくれた。
本当は、抱きしめて欲しくて言っていたなんて、言えなくて、その後に自分の部屋でこっそり姉が泣いているのを知って、罪悪感に飲まれる。
優しいお姉ちゃんがきらいだ。
そんな優しいお姉ちゃんを泣かせたお母さんがきらいだ。
とっくの昔に死んでしまった父さんもきらいだ。
でも、何よりも、自分のことが大嫌いだ。
12月25日
クリスマスだ。
私は泣き腫らした目を擦り、ゆっくりと起き上がると、机の上に小さなクリスマスツリーと、小さなプレゼントが置いてあった。
メリークリスマス
お姉ちゃんの字で書かれているメッセージに、キラキラと輝く小さな白色のクリスマスツリー
私は恐る恐るプレゼントを開けると、小さなスノードームだった。
私はそれを振り、ただ、雪が積もっていく様子を眺めていた。
体が弱くて、すぐに風邪を引いてしまうお姉ちゃんは、雪に触れたことがなくて。
お姉ちゃんの手はいつも暖かくて
私はサンタさん、ありがとう。と書いたメッセージカードを姉の机の上にそっと置いた。
『君が見た夢』
君と二人でこの青空を駆ける
そう、昔に君と見た夢は遂に叶わなかった。
君が最期に見た夢は一体どれだけ美しいものだったのだろう。
どれだけ素晴らしいものだったのだろう。
そうでなければ、僕は君を一生許せないだろう。
『明日への光』
山に差し込む夕日
夜を告げる月明かり
夜空を埋めつかさん限りの星は今にも降ってきそうで、ひんやりとした風は頬を撫でる。
光は輪になって
輪は循環して、息絶えもなくまわり続ける。
そこに私たちが存在し、光がある。
例えこの世界から人類が消えたとしても明日への光は無情にもこの星をも照らす。
明日への光は、希望でもない。
救いでもない。
ただ、そこにあるべきして有るのだ。
だが、我々の祖先は皆この光に名前をつけた。
神と崇めた。
それは何千年のときをえて紡がれ、そして紡いでいく。
天空を見上げればそこに光があり、道標となる。
私はそんな人になりたい。
『星になる』
小さい頃に夢見たことがある。
数多輝く天を照らす星になりたいと。
母親は一生懸命に生きたらお星様になれるかもねと言った。
だから、私は一生懸命になった。
それでも、いっぱい頑張っても、1番にはなれなかった。
クラスで、1番になったらもらえる星のシールを、私は一度も手にすることができなかった。
私は星からいちばん遠い存在だった。
でも、母親は、私のことを抱きしめ、私はぼろぼろと大粒の涙を流して泣いた。
「お母さん、あの星は、なんて言う星?」
「木星っていうのよ」
「……すごく、輝いてる。綺麗だなぁ……。」
「……木星はね、自分の力で輝いていないのよ。太陽の力を借りて輝いているの。」
「太陽……?」
「そうよ。太陽。
星は、独りで遠く輝いても、届かない時もある。
でも、誰かと一緒になったら時には一番星にだってなれるの。」
「一番星……」
「それに、この宇宙の星は、全ての星が一番星なのよ。ただ、見えないだけなの。
あなたはもう、輝いているわ。私のお星様。。」
お母さん
あの時は、ありがとう
私は、本当にその言葉にどれだけ救われたか分かりません。
お空にいるお母さんへ
聞こえてますか。
私は、今も、誰かの宇宙で輝けているのでしょうか。