「相合傘」
傘を忘れた友人がそろりと私の傘に入ってくる。
友人に雨が当たらないよう、風下側を譲った。
わずか数分間の出来事。細かな雨だった。
友人の護衛になれた気分で、私は少し嬉しかった。
「落下」
ちょっと手元がぶれて、べちゃっ。
ソフトクリームが地面に落下。
残ったコーンを悲しくかじる。
炎天下の屋外でソフトクリームを食べた時の話。
(終)
創作「未来」
百年、千年、さらにその先のことなど、漠然と妄想はできても予測はできない。人類が築き上げてきた文明社会は残っているのか。滅びているのか。そして……
いや、この話はもうよそう。
明日、世界が終わるなんて時に。
言霊ってあるんだ。たった今信じたよ。
まさか君とっ[数分間の怒号と奇妙な咆哮]
私は、未来に、見放され、た。もう、助からない。
君は、好きに生きて。[激しい咳き込み]
……私からの、最期のお願いだ。
はぁ、ははっ、もう限界のようだ。
君に幸あれ 。[数秒間のノイズ]
(終)
「1年前」
私は1年では変わらない。
でも、どうにか良い方向に変わらなければ。
1年前、焦燥と不安とを抱えて過ごしていた。
つねに緊張して、心の中で自問自答をしていた。
どうして、こんなにも感情が揺れるのか。
どうして、やる気が湧かないのか。
どうして、自分は無力だと思うのか。
答えは出ない。動画やゲームで不安を誤魔化す。
誤魔化すためだから、何も楽しくない。
こんな生活でごめんなさい……ごめんなさい。
そんな1年前だった。
しかし、私にも少しずつ変化はあった。
そうして今できることを楽しもうと思い至った。
きっかけは家族の言葉だった。
せっかく穏やかに過ごす機会がめぐってきたのだから、甘えておけば良い。
成長するタイミングは生きている限り掴めるから。
救いだった。ありがとうと思った。
そうして、今の私は生きている。
相変わらず私の感情の起伏は激しい。
それに、ちょっとしたことでも深く落ち込む。
だけど、「喜び」「楽しみ」を思い出しつつある。
「好きな本」
友達や先生の影響で読書が好きになった。
読む本が増えて、好きな本が増えてきた。
一番を決めるのは難しいが、特に小説が大好きだ。
その日に読む本を決める時間、じっくり読む時間、しばらく内容に浸る時間が私にとって癒しの時間だ。