風が運ぶものといえばなんだろう
雲とか、種とか、寒さとか、色々あるだろう
雲が来て、多少雨や雪が降っても、災害級でなければ、私は気にしない
種が飛ぶのは、植物の緑が増えるから素晴らしいことだ
寒さが運ばれたとしても、まあ、厚着をすればいいし、冷たさを楽しむのも一興だと思う
だが、風が運ぶ花粉
あれは絶対に許さん
春に現れる魔物め
あれのせいで、くしゃみが出るわ、鼻水は止まらないわ、目は痒いわ、頭はぼーっとするわ、頭は痛いわ、集中できないわ、薬を飲まないといけないわ、目薬は面倒だわ、点鼻薬も必要だわ、病院代と薬代かかるわ、本当に腹が立つ！
奴らさえ、奴らさえいなければ！
ということで、これより杉の木伐採作戦を開始する！
これは我ら花粉症患者の自由への戦いである！
行くぞ、皆の者！
苦しみの春を終わらせるのだー！

………
……
…

「感動したぜ、花粉戦争
こんなにいい映画だとは思わなかった
隊長かっこよすぎだろ」

「お前が面白い映画を見つけたから一緒に見ようって言うから見たけどさ、何このZ級映画
色々ひどいな」

「お前は花粉症じゃないからこの映画の感動がわからないんだよ」

「花粉症でもわからないだろこれは
あれのどこが感動的なんだか……
お前の趣味はわからないな」

こどもなんでも質問部屋

「みんなの気になる、に答えます！
こどもなんでも質問部屋！
さあ、今日もみんなからの質問に答えていきますよ！
それでは早速1つめの質問、行ってみましょう！」

question1
我々はどこまで強欲なのだろう
なにかを手に入れても、もっと大きなものを欲しくなる
己の欲を満たすためなら、他者から奪うこともいとわない
私は自分が恐ろしい
いつか欲に負け、人として大切なものを失ってしまうのではないかと
この欲望から抜け出すにはどうすればいいのだろう

「え？
ええっと、あの、とりあえず、自分が欲しいなって思うことにばかり目を奪われないで、友達と遊んだりとか、家族と過ごす時間とか、そういうことも大切にしたらいいんじゃないでしょうか？
そういう大切なものを積み重ねて行けば、欲張りな心も満足できるかもしれませんね
そ、それでは次の質問行ってみましょう！」

question2
この世界は現実なのでしょうか？
私は時々不安になるのです
この幸せな日々は虚構で、いつか目を覚まして現実に引き戻されてしまうのではないかと
そして、その現実は幸せとは遠い、地獄なのではないかと
私は、この不安をどうすればいいのでしょう？

「あ、また
あーっと、あるかどうかわからないような、もしもなんて考えても仕方ないから、日々の生活や楽しいこととか、やりたいことに集中するといいんじゃないかな、と思います
今の幸せを大事にしていきましょう！
では、あの、次の質問を……」

question3
他人の気持ちなんてものはわかるわけがない
友好的に接していたって、心の中ではどう思っているかなんて、本人のみぞ知るところなのだから
相手は自分をどう思っているのだろう？
この場合はどのような言葉をかけるのが正解なのか？
答えは出ない
こんなことで苦しむくらいなら、私は飼い猫にでもなりたい

「えっと、もう質問ですら……あ、いえ、なんでもないです
あ、でも、そうやって色々考えるのも人付き合いの面白いところだし、相手の気持ちがわからないなんて当たり前だから、間違ってるかもしれなくても、相手の心を自分なりに想像して接してあげたらいいんじゃないでしょうか
それに、もしかしたら飼われてる猫も、人間には想像もつかないような苦労があるかもしれませんよ？」

チャーララチャンチャンチャーラーラー♪

「そ、そろそろお別れの時間です！
気になることや、知りたいことがあったら、どんどん質問を送ってくださいね！
それじゃあ、バイバーイ！」


「疲れたぁ
何あの質問？
本当に子供が書いたの？
親が書いてない？
今の子ってあんな感じなの？
え？質問をくれた子からの感謝のメッセージ？
見てくれた子供や親御さんからも好評のメッセージが来てる？
そ、そうなんだ
あとで読ませていただきます
好評なのはよかったですけど、次回もこんな感じの質問ばかりじゃないですよね？」

雪を待つ
https://kaku-app.web.app/p/7L99iWwjjgfe7maQ9zHC
風邪
https://kaku-app.web.app/p/80DsxD3wsWh0NgH4PYn0
の一応、続き
URLを載せてもページに飛ぶのは大変かもしれませんが、興味があれば



見事に雪が積もったな
これだけ積もれば、雪だるまも作れるだろ
よかったな

「雪が積もったら作るって、去年からの約束だったからね
ようやくできるよ
昨日から楽しみで、眠るのに苦労した」

まるで遠足前の小学生だな
今日は防寒対策してきたみたいで、安心したよ

「前みたいなことになりたくなかったから
それに、雪だるまづくりと一緒に寒さ対策の約束もしたし」

そうだな
去年は寒空の下、雪が降るのを待って、後日見事に風邪ひいたもんな

「風邪はそこまでキツくなかったけど、家に誰もいなくて、君に電話するくらい本当に心細かったな」

ま、俺で心細さが和らいだんなら、よかったけどな
そんなことより、早速作るか？
雪だるま

「うん
それにしても、生で見る雪景色っていいものだね
初めて直に見たけど、キレイだよ」

俺は見慣れてるけど、初めて見たら感動するかもな

「うん、すごく感動したよ」

一面真っ白に輝いてるもんな

「ところで、これから雪だるまを作るわけだけど、どうやって作るの？」

ああ、それなんだけどな
俺はよく考えたら雪だるまなんて作ったことなかったんだよな
調べようとも思わなかったしな
どうやって作るかは盲点だった

「たしかに、雪だるまって定番のものだから、当たり前に作れると思っちゃうかもね」

本当に、その通りなんだよ
うっかりしてたぜ

「でも、感覚でやっていけばそのうちなんとかなるんじゃない？
とりあえずやってみよう」

お前の行動力の高さは、こういう時、強いよな
時間はたっぷりあるし、寒くてもやってるうちに体も温まりそうだから、まずは始めてみるか

「雪玉を作って、適当に転がしていればいいんじゃないかな」

だな
じゃ、やっていこうか



なんとか作れたな

「お疲れ様」

お前もな
考えてたより小ぶりだが、まあ、初めてならこんなもんか

「私は大満足だよ
なかなか可愛くできたと思う」

若干、不格好なのが逆に味があっていいかもな

「そうそう
せっかくだし、記念に写真撮ってみんなに送ろうか」

おう

「あっ、もう返信きた、ほら」

どれどれ
なんかみんな羨ましがってるな
自分も誘えとか、二人だけでずるいとか、そんなのばっかだ

「明日、みんなを誘ってまた作っちゃう？」

いいなそれ
それじゃあ、また雪だるまをみんなで作るとするか
全員防寒着必須、みんなで楽しく健康に雪だるまを作ろうと付け加えて、メッセージを送ってくれ
俺との約束だってな

ひらりひらりと、舞い落ちる
花びらが散っていくさまは、美しくも見えるけど、切ない
私の目には、強い夢を持つ人の頭の上に、花が咲いて見える
夢を持たない人は種、夢を自覚していない人はつぼみで、叶えた人の頭には何もない
そして、夢を諦めた人は、花びらが散っていき、種が残る
どうせなら、夢を叶えた時に咲けばいいのに、と思う
花はキレイだけど、私にとっては頭の上に何もない人を見るほうが好きだ
自分の夢を叶えた証だから
けど今、私の前で花びらは散っている
ひらりひらりと、君の涙とともに
花びらを失った花は枯れ、種へと姿を変えてゆく
諦めてしまった君に、私ができることは何もない
かける言葉も、思いつかない
でも、再び花が咲き、いつか、君の頭に何もなくなる日が来ることを、願わずにはいられない

おーっほっほっほ、誰かしら？
3日あればワイバーン肉程度、調達できるとか大見得切ったおバカさんは？
わたくしよぉぉぉぉ！！
どうするの！？
もう明日には宴が始まるのよ！？
ちょっと山へ行って狩るだけだと思ってたのに、なんでこの時期にレッドドラゴンなんて危険度の高い怪物が現れるのよ！
あの渡り竜は夏に現れるものでしょう！？
今、春じゃないの！
来るのが早すぎよ！
あんなの、騎士団レベルじゃないと太刀打ちできないでしょうが！
良家の人間が冒険者をやるなんて、元々周りからいい目で見られない立場なのに、失敗したとなったら余計に厳しい目に晒されるわ！

「あははは
冒険者の仕事の厳しさがわからない上流の方々からは、しょせんお嬢様の道楽かとバカにされるでしょうね」

うるせぇぇぇぇ！
余計なこと言ってないであなたもどうするか考えなさい！

「口調も荒々しい冒険者らしくなってきましたね
これでお嬢様も1人前の荒くれ者ですよ」

冒険者は荒くれ者じゃないし、わたくしの口調がたまにああなるのは周りの環境のせいで、わたくしの本質は高貴なのよ！
ってそんなことはどうでもいいの！
なんとしてでもワイバーン肉を手に入れなくては！

「そんなお嬢様に朗報です
ワイバーンを狩れないのなら、宴なんて中止に追い込んでしまえばよいのです」

……ほうほう、詳しく聞かせなさい

「私がパシリ……友人に命じて会場をめちゃくちゃにさせます」

それはただの事件なのではないかしら？
わたくし、あなたやパシリ……ご友人が捕まるところなんて見たくないわよ？

「ご安心ください、彼女は偽装工作は大得意です
そのへんで待機している酒癖の悪い上流な方にお酒をたらふく飲ませ、荒らした現場に放置します
朝起きたらあら不思議、めでたくその人は宴の会場を荒らした犯人です
記憶もおぼろげなので、その人は嫌疑について肯定も否定もできません」

あら、悪辣なことを考えるわね
でもそういうの、わたくしは好きよ
頼んだわね、うふふふふ

「では、そのように
それで、報酬の方は……」

もちろん弾ませてもらうわ！

「ありがたき幸せ、クックック」



翌日、計画がバレてました
2人でお父様の部屋へ呼ばれてしまった……

「私はやめたほうがいいって言ったのに、お嬢様が脅してきたんです！！うああああん！」

この女ぁぁぁぁ、あっさりわたくしを売りやがったぁぁぁぁ！
泣き落とししてんじゃねぇぇぇぇ！

「お前たちの企みはすべてお見通しだ
昨晩、お前たちがパシリと呼んでいる彼女から告発があった
当然、会場は無事だ
宴は予定通り行われる
そして、お前たちにはとても重い罰を与えるので、そのつもりでいろ
まったく、肉が手に入らぬなら正直に言わんか馬鹿者」

まさか、裏切られるとは……！
忌々しいわ……！

「あの恩知らず
あとでおしおきしてやらないと……！」

「聞こえているぞお前たち
それと、おしおきを受けるのはお前たちのほうであるということを忘れるな」

終わった……
どうしてこんなことになってしまったのかしら
誰かしら？
こんな目に合うそもそものきっかけを作ったおバカさんは？
3日でワイバーン肉を調達するなんて大見得切ったわたくしよぉぉぉぉ！