君はあたたかいね
え?冷え性だって?
体温の話じゃないよ
君に触れたことなんてないのに、体温なんて知るわけないでしょ?
言うのは恥ずかしい感じがするけど、心だよ、心
私、けっこう君のことを観察してるんだけどさ
あっ、気味悪がらないでよ?
これには深いわけがあって、まあ、その話は置いといて
ともかく、観察の結果、君ってかなりの友達思いだと思うんだよ
付き合いよかったり、勉強を教えたり、みんなが嫌がることも率先してやろうとするし
普段すごく優しいけど、ただ優しいだけじゃなくて、友達のためを思って、言うべきことははっきり言うじゃん
あと、学校の外でも人に親切だよね
たまたま街で見かけたとき、道に迷った外国の人に時間をかけて熱心に教えてあげてたし
周りのみんなはそんな君のこと、すごく好きなんじゃない?
君を嫌いになる人なんて、嫉妬する人くらいじゃないかと思うよ
君の人へのあたたかさは中々出せるものじゃないよ
まあ、私が言いたいのはそういうことだから
え?君を観察してた理由?
くだらないことを気にするね、君
そんなのどうでもよくない?
あ、ダメ?
ええと、その、なんというか、言わなきゃダメ?
あー、はい、言います
君のことが、あの、恋愛的な意味で好きだからです
私の心は寒がりなので、あたたかい君に惹かれました
あの、告白しちゃった以上、返事は欲しいけど、その、一旦持ち帰ってくれると助かる
返事がどっちだとしても頭がパンクしそうなんだよね
じゃあ、私帰るね!
また明日!
未来への鍵が見つからない?
鍵がないと未来に続く扉が開かないから、困っちゃいますよね
でも大丈夫!
実は私は、鍵がなくても扉を開ける技術を持っているのです!
本当は扉に合った自分だけの鍵が必要になるんです
ただ、私、ピッキングが得意なんです
人生のピッキングです
皆さんのように、色々な事情があったり、ハンデを抱えていて鍵を探せない人の未来に続く扉を、未来への鍵無しで開け放つ手伝いができるんですよ
私だけじゃなく、それぞれに合ったピッキング職人がいると思うので、きっと平気です
あと、ピッキングっていうと悪いイメージを抱いちゃうと思いますけど、安心してください、合法です
むしろ公認です
私たちと一緒に未来への一歩を踏み出しましょう!
でも、私たちは解錠するだけなので、扉そのものは自分で開けてくださいね
そこは、自分でやらないとダメな部分です
だけど、勇気を持って開いて踏み出せば、素敵な未来が待ってるかもしれませんよ?
友人が、苦労して手に入れたという、星のかけらをプレゼントしてきた
星のかけらとはなんだろう?
隕石か?
たぶん隕石なんだろう
まさか月の石ではあるまい
私は宇宙にそこまで興味はないが、隕石はすごいな
かなり興奮する
高かったのではないかと聞くと、友人は五千円ほどだったと笑いながら言った
安くないか?
しかしなぜ私にこんな貴重なものをプレゼントしようと思ったのだろう?
私が宇宙マニアならわかるが、実際のところ、私の宇宙への興味は人並だ
なにやら怪しさを感じる
この男はいたずら好きで、ジョークなどを頻繁に言ってくるのだ
私は星のかけらをじっと観察した
なんだか、見覚えがあるような
ああ、わかったぞ
友人が持ってきたのは隕石でも月の石でもない、溶岩だ
星のかけら、か
まあ、地球は惑星だし、そこから噴出したものなら、星のかけらと言っても間違いではない
しかし、そんなジョークを言うために五千円かけて溶岩を買うか?
まあ、人を楽しませたがるいい友人であることは間違いないな
ジョーク用に買ったわけだが、プレゼントというのはジョークではないらしく、貰っていいそうなので、ありがたく頂戴することにした
溶岩というのも、珍しくて面白いしな
Ring Ring ...
Ring Ring ...
え、公衆電話が鳴ってる
公衆電話って鳴らないよね?
怖いな
いかにも何かよからぬことが起こりそうだよ
取ってみたい気もあるけど、取らないほうがいいよなー
でもこれ、取らなかったら逆に呪われそうな気もする
せっかくホラー感出して公衆電話鳴らしてんのに無視しやがってみたいな感じで
もう取っちゃうか
少しくらい怪異に付き合うのも悪くない
これも経験だ
もしもし
『お前は許さない』
いや、僕は死者に恨まれるような人生は送ってません
全然覚えがないし
というか、誰なんですか?
名乗るか顔を見せてくれないと仮に僕が何かやっちゃってたとしても、わからないですよ?
声から推測しようにもノイズかかりまくって、辛うじて聞こえるくらいだし
あっ
これもしかして、後ろめたい心が一切ない人のほうが少ないのを利用して、恨んでもいない相手を脅し、雰囲気に飲まれた人に謝らせ、無差別に呪う怨恨詐欺の怪異では!?
呪えば呪うほど力が増すからといって無理やり人を呪い殺そうとし、他の怪異たちからも嫌悪されている、悪質な奴だ!
「少々お待ちください」
そう言って僕は即座にスマホで別の怪異に電話した
こういう、嘘の恨みで無実の人間を呪殺しようとする悪質な怪異を取り締まる、怪異専門の怪異がいるのだ
幸い僕は彼と知り合いなので、取り締まってもらうことにした
【報告、ご苦労】
ひと言、そう告げると、電話が切れた
その後、公衆電話の受話器から、甲高い悲鳴が聞こえた
どうやら、断罪されたらしい
怪異界の秩序は、彼のような怪異たちによって保たれているのだ
少し偉そうに語らせてくれ
追い風に乗じて、大胆に動く
そうすることで、挑戦していることが大きく進展することも多い
だが、追い風は待つだけでは吹いてこない
自分で起こそうとしないと、吹かないんだ
運がよかったとか、周囲の人のおかげとか、確かにその通りではある
だがそれだけじゃない
日頃の努力や行動の積み重ねが、ふとしたきっかけで噛み合った時、追い風は吹く
つまり追い風が吹く時というのは、決してまぐれや偶然ではなく、実力が多く含まれている
それに、いくら追い風が吹いていても、それをものにできるかどうかは、自分次第だろう
絶対にまぐれや、周りの人々の協力だけじゃどうにもならない
最後は、自分がそれを達成できるだけの力を持ってるかどうかだ
お前にとって都合のいい状況が揃っていたのは認めよう
いつもより、相当やりやすかっただろう
しかし俺は、お前の運がよかっただけだとは思わないし、すべてが周囲の人の協力の賜物とも思わない
この追い風は、お前が今まで頑張ってきた結果、掴みとった環境だ
お前が自分で吹かせた追い風なんだから、うまくいったら、自分を褒めてやればいいのさ
そんなに謙遜する必要はないと思うぞ
お前は、周りへの感謝を忘れない優しさがある
けど、その心を少しは自分に向けてやっても悪いことはないんじゃないか?
お前はお前が考えているより、よっぽどすごい人間なんだからな