私の下の名前は「みかん」というんだけど、柑橘類全般が苦手で、食べたくない
そのわりにみかん味やレモン味のお菓子なんかは食べられる不思議
けど柑橘類の果物そのものは無理
で、柑橘類が苦手というと、「え〜、みかんなのに?」とよく驚かれる
私は名前が「みかん」なだけなんだけど
けっこう同じことを言われてきた私としては、そんな反応をする人たちに一言言いたい
じゃあ勝利さんは常勝無敗なのか?
優子さんはみんな優しいのか?
この世の勇輝さんはみんな勇ましくて輝かしいのか?
絶対にそんなわけがない
だったら、柑橘嫌いの「みかん」だっていてもおかしくはないはず
だけど驚かれる
みんな名前に引っ張られ過ぎなんじゃないかな?
名前だけで判断しないで、もっと私という人間を見て判断してほしい
とかいいつつ、私も名前ではないけど、外見で内面を判断しちゃったりしがちだから、他人のことは言えない部分があるけどね
私もみんなも、そういうとこ、ちょっと気をつけたほうがいいね
私は柑橘類が苦手な「みかん」
好きな果物は、ぶどうかな
キャッホー、冬休みだぜー!
とはならないよな、あんまり
キャッホー、夏休みだぜー!
とはなるけど
テンション高い人たちが、海に向かってジャンプしながら走っていく様が容易に思い浮かぶ
でも冬休みはそんな感じにならない
あるとすれば、積もった雪にダイブしながら、だろうけど、そんな光景、思い浮かぶことは少ないよね
冬休みは、もっとこう、静かなイメージがある
太陽がギラギラで暑く、みんながオープンになる夏に比べると、冬とか雪とかって、寒くて縮こまってる感じがするから、騒がしさは連想しないんだろう
でもそれもなんだかちょっと寂しいので、ここからが本題なんだけど、僕はあえてテンション跳ね上げ、年末番組や年越しカウントダウンで騒ぎまくろうと思う
新年に雪が積もったらキャッホーと叫びながら、思いっきり雪にダイブしたい
ひとりだとヤバイやつ確定なので、友人代表として君も巻き込もうと考えている
どうだ?
え?二人でもヤバイから断る?
そんな
ん?どうせなら二人だけじゃなく、他の奴らも呼ぶって?
おおいいね!
持つべきものは友だ
人数は多いほうが楽しいし
今回の冬休みはみんなでエンジョイしよう
どんなに寒くても、君は手ぶくろをしないね
手ぶくろをすれば手が冷えないよ、と言っても、大丈夫と答えて、素手のまま
だけど、やっぱり手は寒そうにしている
どうして頑なに手ぶくろをつけないの?
私の疑問に対して君は、手で直接、色々なものの感触を確かめたいから、と言った
私にはそのこだわりはよくわからなかったけど、君の冷えきった手は放っておけない
手ぶくろと体質によって無駄に温度の高い私の手で温めてあげよう
君の手が、少しは温まるといいんだけど
自分の手ぶくろをとって君の手をつかむと、君はなんだかすごく嬉しそうな顔
喜んでもらえてよかった
君から、お姉ちゃんのあったかさも感じられたね、なんて言われて、少し恥ずかしくなったけど、私も嬉しいよ
でも、本当に冷えすぎると体に悪いから、今度から、こんな寒い日は手ぶくろをつけようね
お姉ちゃんとの約束だよ
「この世に変わらないものはないんだよ
全てのものは常に変化する」
そんなことを、友達が言い出した
そのことには私も同意する
この世界のすべては、たとえ同じ状態でいるように見えても、気づかないだけで何かしら変わっていっているのだろう
だけど、だからといって
「歌にあまり興味ないとか言ってたのに、私が紹介した歌手の曲を聴いた瞬間、ドハマりして、ライブのオンライン配信のチケット購入は、変わりすぎじゃない?」
同志ができたのは嬉しいけどね
「だって、信じられないくらいの名曲だったから
他の曲も聴いたけど、どれも感動した」
すごいうっとりしてるよ
この子のこんなうっとりしたところ、見たことないな
こんなキャラだったっけ?
「気に入ってくれたみたいでよかったよ
いつも頑固だから、こんなにすぐにハマってくれるなんて、予想外だった」
「言ったでしょ
この世に変わらないものはないって」
どうやら頑固な自分も、以前より態度が柔らかくなってる、ということらしい
ともかく、この子との共通の話題が増えたのはとてもラッキーだ
紹介したかいがある
「本当に、いい方向に変化したよね」
人は悪い方にも変わるけど、今回はそうじゃない
こういう変化なら大歓迎
私と同じ趣味になってくれたから、この先が楽しみだよ
「そうだね
すごくいい変化だと思うよ
趣味が増えるっていうのは、楽しいからね
教えてくれてありがとう
次のライブは、一緒に現地へ行こう」
いつもよりいい笑顔だなあ
こんな全力の笑顔も初めて見たよ
本当に、この子も日々、変化してるんだね
次はどんな変化を見せてくれるかな
これからもポジティブな変化を私に見せてね
クリスマスの過ごし方かい?
私は毎年同じように過ごしているよ
他人が幸せそうにしているのを見るのがとても好きでね
夜の街に繰り出して、カップルや夫婦、家族連れや友人同士などが楽しそうに歩くさまを眺めているんだ
この日はとてもいい
今を楽しんでいる人を多く見ることができる
クリスマスプレゼントなんてものは私には必要ない
ただ、クリスマスを楽しむ人々が見られれば、それで満足だよ
そしてそれを糧にして、その後の一年を頑張ろうという気になることができる
他人にもっと優しくなれる気もする
もしかすると、これがクリスマスプレゼントなのかもしれないね
私のもとにサンタクロースは来ないが、私にとっては幸せそうな姿を見せてくれる彼ら彼女らが、サンタクロースのようなものだ
私の目には、道行く人々がイルミネーションにも負けないくらい輝いて見えるよ