頭が冴えている
様々な考えが浮かんで来て、そのせいで眠れないほどだ
ついにはどうしたらこの状況で眠れるか、なんてことを考え始めた
完全に本末転倒じゃないか
眠る方法なんて考えたら、眠れるはずがない
考えるな、感じろ
目だけでなく、心のまぶたも閉じるんだ
心を動かさず、ただただ静止しろ
今は思考を放棄し、目の前の暗闇と一体になれ
自然と、自分自身の呼吸に集中する
一定のリズムで、同じように体が伸縮するのを感じながら、ひたすら心を凪の状態に保つ
時間が経ち、私は眠れなくて苦しんでいたことを忘れつつあった
頭が段々鈍っていき、思考が入る隙間は徐々に狭まっていく
そして、私はいつの間にか、眠りについた
いつまで寝てるんだー!
今日は朝から予定があっただろー!
全然起きる様子がない
気持ちよさそうな顔で寝てるなぁ
おまけに寝言なんて言ってるし
いい夢見てるみたいだけど
寝てる場合じゃないんだよ
さっさと夢から覚めてくれ!
出かけないといけないという
この現実を直視してくれ!
夢と現実なら今は現実を優先するんだ!
ああーでもこう幸せそうな寝顔を見てると
起こすことに罪悪感がある
いやいやダメだ!
ここは心を鬼にして起こさないと!
おーい!
早く起きないとそのへんにあった
君の黒歴史ノートを音読しちゃうぞー!
別れ際にさよなら、と言おうとしたら
さよならは言わないで、と言われた
長い別れになるような気がして、好きではないらしい
確かに、さよならという挨拶にはそんな印象がある
もしくは、もう会えなくなるような気さえする
その気持ちは理解できるので、私は違う言葉で別れの挨拶をした
「また、明日」
これなら再会の約束になるから、すぐ会える感じがするだろう
実際、明日も会うことになるのだから、この言葉ならピッタリだ
この言葉で満足してくれたようで、彼女はニコッと笑うと、私と同じく「また、明日」と言いながら、帰路についていった
もう少しでこっち側に来てもらえそうなんだよな
敵対している人が今、光と闇の狭間で迷ってる状況だ
もうひと押しすれば、うまいこと、いわゆる光堕ちをしてくれると思うんだよ
でもなかなか簡単には闇を脱してくれない
闇堕ちは簡単に起きるけど、光堕ちって難しいんだよね
でも頑張って引っ張っていくぞ
それが相手の心を救うことにも繋がるからね
このままの状態じゃあ不幸な結果に終わるだろうし、できればこっち側に来て幸せになってもらいたいよね
せっかく仲間になれそうなんだから、このチャンスをものにしたい
もし、闇に引きずり込もうとする奴が現れても、僕が必ず光の射す方へ連れて行く
強い覚悟を持って、彼を光堕ちさせる
絶対に闇から救って、仲間にしてみせる
距離を測る単位といえばメートル
メガメートルやギガメートルという
キロメートルを超える単位もあるが
使われるのはもっぱらキロメートルまで
使い勝手が悪いのか
使う必要がないのか
ともかく使われたところを見たことがない
存在はしているのに使うことがほぼない
我々はメガ、ギガメートルに対して
その単位と同じくらいの長さで
心の距離が空いているのかもしれない