私の好きなキャラクターの葬式がリアルで開かれた
敵ながら大人気で、ファンが多いキャラだ
各々、好きな理由は様々だろう
私は威厳や覇気のある存在感に圧倒されたが、
常に一貫した強さを持つのではなく、
物語の中で成長するところにも強く惹かれた
そんな大好きなキャラの葬式だ
参列しないわけにはいかない
会場に着くと、たくさんの人が並んでいた
やはり作品もキャラも人気なんだと実感しながら、
私も並び、始まる時を待った
葬式が始まると、大粒の雨がボツボツと降ってきた
今日は雨になると天気予報で言っていたので、
慌てることもなく自分も周囲も傘をさす
しかし、予報よりも雨が激しい
中止になるほどではないが、
予想外の強さにみんな少し戸惑っていたようだった
そんな中私は、
このキャラクターの死を悲しみ、
空が泣いているのかもしれない、
などと、気取ったことを考えていた
君からのLINEが来た
別に気にしていないけど、
既読を確認してからなかなかの時間が経っていた
そしてかなり短めの返事が書いてあった
でもきっとすごく考えてこの文にしたのだろう
君はどんなことでも真面目に取り組むから、
僕の適当な文にも正面から向き合ってくれたのだろうと、
容易に想像がつく
LINEの返事が遅くて不満を持つ人もいるだろう
けど僕の場合、ありがたいと思う
遅いということは、
僕の送った言葉に対して、
適当な返事で済ませる気がないということだから
まあ、それは僕の自意識過剰で、
ただ単に見るだけ見て後回しにしているだけかもしれないけど
それはそれで向こうにも都合や気分があるだろうから、
気にするのは無駄なストレスだと思っている
だけど君の場合は、
だいたい返事をどう出すべきか考え込んでるのだろうと思う
いつも適当に送る僕だけど、
君を見習ってちょっとくらい真面目に考えてみようかな
たとえば、君が考え込まないように、
返事を出しやすい文にするとか
いつも僕が気遣われるばかりじゃなんだか悪いから、
僕のほうがたくさん気遣うことがあってもいいだろう
やめてください
とにかく今すぐ中止してください
命が燃え尽きるまで、
全力を出そうとしないでください
もっと自分を大切にしましょうよ
みんなのためにそんなことしなくていいです
あなたがみんなを大切に思っていて、
守りたい気持はよくわかります
でもね、自分を大切にできない人は、
本当の意味で他人を大切にできません
なぜならあなたが傷つくと、
みんなが悲しむからです
みんなが苦しむからです
もしあなたがみんなのために犠牲になったとして、
誰もそれを喜びません
心に深い傷を負います
ほら、その時点であなたはひとを傷つけた
大切な相手にする仕打ちじゃないでしょ
あなたがみんなを守りたいように、
みんなもあなたを守りたいし、
大切に思っているんです
だから今すぐ考え直してください
よりいい方法を考えて、
みんなで笑って終わりましょう
それが一番です
眠気が全く来なかった
まずい、このままでは朝が来てしまう
完徹は避けたい
明日、いや、もう今日か
今日が潰れることは確実だが、
そんなこととは関係なく今すぐ寝たい
意地の問題で、夜明け前には寝たい
なんとしても眠りにつきたい
しかし目が冴えている、冴え渡っている
日中はよく眠くなるのに、
どうして夜眠れないのか
昨日は朝早く起きて、
昼寝なんてせずに程よく疲れていたのに
あまりにも不可解すぎる
夜明けが刻々と近づき焦りが募る
ここまで来たら
夜が明けてから寝ても一緒だと思うが、
寝られなかったら気持ちが沈む
寝ずに夜を明かしたら謎の敗北感に包まれる気がする
なぜ俺はこんなくだらないことに
心を振り回されているのだろう
恋の味は人それぞれ違うそうだ
でも、とても心地いい味がするらしい
私は恋をしたことがないのでわからないが、
恋の経験がある友達が言うには、
恋に落ちたら最後、
毎日味わわないと気がすまないのだという
流石にそこまでだと少し怖く感じるが、
そういうものなのだと友達は笑った
特に、真剣かつ全力で相手に向き合う、
本気の恋というものは、
それはもうこの世のものとは思えないほど、
心に深くしみわたる味なのだそうで、
現在進行系で本気の恋をしているのだと
テンション高めで話す友達は、心底幸せそうだった
正直あまり現実味を感じないし、興味もないのだが、
いつか私も、本気の恋というものをしたりして、
恋の味の虜になる時が来るのだろうか