欲しい欲しい、あれが欲しい。
尽きない富に、誇れる名声、知能、権力、才能それから。
くれるのならば何だってしましょう。
神様、神様どうかおねがい。
あぁ、神様あなたはひどい。
こんなに私が願っているのに、叶えてくれたことなど
ひとつも、たったのひとつもありはしない。
生きとし生ける全てのものに、平等なのではなかったか。
それとも私は屍か。動く、冷たい死体であるのか。
犯した罪の一つや二つ、生きるためには仕方のないこと。
周りのものが私を見る。そんな目で、見ないでくれ。
そんな冷たい視線など、私は一度も望んでないだろ。
お願い、見ないで、いいや、見てくれ。
どうか私を捨て置かないで。無視しないで。心に置いて。
あぁ、主よ、神よ、神様。
あんな願い、やっぱり良いから、
あなたが私の全てであって、ずっとお慕い続けるから
でも、どうか、私に慈悲をくださるなら、
どうか、どうかどうか、どうかどうかどうか、どうか、
ひとつ
愛を。
今日も、また今日も、お喋りの中に溢れる共感の言葉。
「それな」だとか「わかる」だとか。
あぁなんて、安っぽい言葉。人の個性を否定する言葉。
そんな言葉で今日も、私の思いが、主張が、
軽々しく否定されてく。飲み込まれていく。
私のものでなくなってく。
そんな私の好きな時間。テストで名前を書く瞬間。
プリントに記名をする時間。誰かに呼ばれるその時。
一番の私の個性、アイデンティティ。
誰にも否定されずに、安っぽい言葉で奪われもしない。
私が私を主張できる。
私の名前は―、
(私の名前)
一緒に走って、一緒にふざけて、一緒に笑って。
ずっとずっと一緒、隣を見ればいつもあなた。
そんな、遠い、焦がれる思い出。
背丈も変わってしまった今の、
離れ離れのあなたの横には、
心には、耳には、差し出す手の先には、
視線の先には、誰がいるの。
(視線の先)