【日の出】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
1/1 AM 9:25
「おはよー、宵ちゃん」
「おはよう。思っていたより早いわね」
「でもまだ起きたばっかりだよ~。
これから朝ごはん食べて、急いでお出かけ
準備する」
「別に急がなくていいわよ?」
「……ねぇ、宵ちゃん。
宵ちゃんは初日の出見たことある?」
「はぁ? ある訳ないでしょ。アタシも
アンタも、元日は毎年のんびり寝てるのに」
「そうなんだけど」
「何よ。見たいの? 初日の出」
「全っ然。初日の出を見るなんて、
そんなのリア充とか人生勝ち組な人の
イベントだよ……」
「それは偏見。普段から早起きなだけの人
だって見てるかもしれないじゃない」
「もー、宵ちゃん! 初日の出はそういうの
じゃなくて、もっと輝かしい感じでしょ!
毎日見てる日の出の内の1つじゃなくて、
山とか海とか、そういうとこでキラキラ
してるのを見るものでしょ!」
「はいはい。分かった分かった。
アンタが初日の出に妙な思い入れが
あるのは分かったから。
とりあえず、落ち着いてごはん食べなさい」
「……そうする。
待ち合わせの時間に遅れたら悪いし。
じゃあ一度電話切るね」
「――待ちなさい。待ち合わせって何?
アタシとは時間なんて決めてな…」
「天明(てんめい)くん」
「え」
「初詣、誘ったんだ~」
「……何で、そんなこと」
「だって、例年通りなら、真夜(よる)くんも
一緒に行くでしょ? いつも男の子1人で
わたしたちのお守りさせちゃってるし。
だから、男友達がいた方が、真夜くんも
楽めるかなって」
「……暁、」
「あっ、パン焼けちゃった!
宵ちゃん、また後でね!」
「…………」
「宵、カフェオレ淹れたよ。
……どうした? 頭抱えて」
「……真夜。ちょっとね、天然なロマンチストと
計画的小悪魔って紙一重なんじゃないかと
思って……。ああもう……」
「……?」
【今年の抱負】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
1/1 AM 0:00
「宵ちゃーん。あけおめことよろー!」
「明けましておめでとう。
こちらこそ、今年もよろしく、暁」
「うんうん。このあと寝るよね?
起きたら初詣行こうね。
ちなみに、今年の抱負は何かある?」
「たったいま新年になったばかりなのに
それを聞くの? ――……そうね、
『鶴見中継所での繰り上げスタートやめない?』
っていう署名でも集めようかしら。
あれ、お正月早々悲しくなるのよね」
「それって、箱根駅伝?
たすきが繋がりませんでしたーってやつ?」
「それよ」
「(宵ちゃん、クールに見えて涙もろいから
なぁ。泣いちゃうんだろうなぁ)」
「…なんで黙りこむのよ」
「あ、ごめんね。じゃあ、わたしが最初の
署名書くよ!」
「冗談だから。本気にしないで。
暁こそ、何か抱負があるの?」
「積みゲーを消化することかな!」
「元気良く宣言するほどの抱負じゃ
なかったわね。で、何本あるのよ。
去年消化できなかった分は」
「今プレイ中のも含めると10本」
「…………」
「なんで黙りこむの~」
「去年のあけおめの後に聞いた積みゲーの
本数とまったく一緒だからですケド?」
「うっ…。で、でも、」
「『寝ずにプレイすれば朝までに1本終わる』は
やめなさい。睡眠不足で初詣に行ったら
人酔いするわよ」
「……わかった……。おやすみなさい……」
「はい、おやすみ。(通話終了)
(はぁ~~~……) ……寝よ」
【新年】
お昼前に起床。
母と新年の挨拶を交わす。
年賀状を確認したら、お雑煮を食べる。
テレビはおしょうバズ→格付け→相棒。
合間に猫をかまう。
去年と変わらない新年。
それを今年も過ごせたことが、
とても幸せなことだと思う。
いつかはきっと、1人になるから。