「君と見た虹」
ある時の夢。
もう居ないはずのあなたが
もう住んでいないはずの
家で窓から外を見ている。
家の中であなたの
後ろ姿を見つけ
私は近づいて
あなたが見ているものに
目をやった。
そこにあったもの。
それは形容し難い虹だった。
虹と理解するまでに
時間が掛かった。
私は驚いて思わず外に出た。
いわゆる一般的な形ではなく
曲線の幾何学模様というか
何本あるかわからないくらい
大きく大空に浮かんでいる。
鮮やかな色がなければ虹だとは
思わないだろう。
薄雲なのに。
遠くにあるはずなのに
近くにあるようだった。
虹の概念を変えるような
想像も出来なかった
初めて見たものに
少しの恐怖と美しさに
声も出ず息をのんだまま
ただ見ている事しか
出来なかった。
私は目を覚まし思った。
あなたが
私に見せたかったもの。
一緒に見たかったのかも
しれないと勝手に思っている。
あなたが居なくなって
初めて一緒に見た虹。
「夜空を駆ける」
きっと誰でも
一度は思う事だね。
人は出来ない事や
不可能な事等に
憧れや羨望を持つものだ。
この世界では無理だけど
いつかきっと。
「ひそかな想い」
楽になりたい。
そうおもう事すら
罪なら逃げ場なんて
あるわけ無い。
ただ耐えるだけ。
私を蝕んでいく
色んなものと闘いながら。
「あなたは誰」
それはたぶん
夢だったんだけど。
場所は知らない
山奥の大きな薄暗い
倉庫のような廃墟。
私の他にも
数名知らない人がいて
私達は各々
何かから逃げているようだ。
「建物から出なければ」
そう思った私は
昼間で天気の良い
外に出ようと
出口に向かって走り
扉を開けて外に出た。
10歩程走って気付いた。
外は薄暗く不気味だ。
「しまった」
そう思い戻ろうとした時
例えが難しいけれど
小さいけどとても
強力な旋風のようなものが
私を襲った。
「ヤバい!連れて行かれる!」
咄嗟にそう思った。
そう思った時には遅かった。
私の体は瞬時にその場で
逆さまになりまわりも見えず
一瞬で半ばパニックに。
時間にして1秒くらいだろうか。
旋風から出ていたらしい
私の左手を強く掴んで
引っ張りだしてくれた人がいた。
気付いた時には
私はその場に座り込んでいて
すぐ状況を確認しようとするが
まわりには誰も居ない。
薄暗い廃墟を見ると
各々逃げていた人達が
揃って私を見ていた。
ここで私は目を覚まし
なんだ夢かと思い安堵していると
掴まれた左手首が
赤くなっているのに気付いた。
本当に夢だったのか。
左手を掴んで助けてくれたのは
一体誰だったのか。
私を連れて行こうとしたのは
なんだったのか。
謎が残る出来事。
「手紙の行方」
その手紙の存在は
もちろん私しか知らない。
たった1通のその手紙は
私亡き後
誰の目にも触れる事無きよう
私と共に灰にする。
私への手紙。
私があの世に持っていく。