“透明”
透明になる時、あるよね。
そんな時はさ
そのまま本当に空気に溶け消えてお家に帰りたくなるね。
“理想のあなた”
理想、理想。
そうだな。
声が綺麗で、些細なことも気に掛けてくれる優しさがあって。小さなわがままに付き合ってくれたりもして。
お姉ちゃんみたいに暖かくて。
今のままのあなたがいいけれど、でも、わがままを言っていいのなら、もう少しだけ、私のことを見てほしい。
“子供のままで”
子供の頃のままだったら。
なんて言ったら、まだ子供でしょう?と言われるだろうけど。
子供の頃の、物怖じせずに色んな人に話し掛けに行けた、あの時のままだったら。
なにか違ったろうか。
いや、駄目だな。
幼稚な言動が『かわいい』で済まされるのは、その言動に相応しい姿だから。
あの頃と比べたらもう随分背も伸びて、顔つきも、声も、“子供”と言うにはいくらか大人びすぎてしまった。
もう、あの時のような振る舞いは許されない。
だって、嫌でしょ?
あーあ。
身も心も子供のままでいられたら、こんな捻くれなかったはずなのに。
“初恋の日”
恋。
恋って、なんなのでしょう?
いつもならぼんやり過ごす時間が、貴方を思い浮かべる時間に変わること?
貴方の傍にいたいと願うこと?
願わくば貴方を、私だけの物にしてしまいたいと思うこと?
ちがう。違うの。
これは恋なんかじゃない。
だって、そうよ。
貴方に振り向いてもらいたいだとか、貴方と一緒になりたいだとか、そんな事を考えてはいないの。
貴方に迷惑はかけられないもの。
そうよ。
これは、恋なんかじゃないの。
砕いた恋心。
線路に投げ込んで、轢き潰してしまえたら。
“夢見る心”
夢?
ああ、夢を見たんだ。
カバが三輪車に乗って…え?そっちの夢じゃない?
小さい頃は僕もね、夢を見ていたんだ。
いつか宇宙に飛び出して、綺麗な星を一つ、自分の物にする夢を。
まあ、出来やしないんだけどね。
きっと。
夢は、叶いやしないから、手の届かない空想だからこそ、夢たりうるのだろう。