見られる分には問題ない
自分を作るのは慣れている
従順で優秀な娘
文句の言わない優等生
愚痴を聞いてくれる親友
みんな欲しいものしか見ないから
注視されると少し困る
そこにはなにも居ないから
綻びそうになる
透けてしまう
本当はなにもないんだって
上手く私を保てなくなる
あっけなく
底まで見えてしまう
#8. 見つめられると
ある日唐突に渡された
これは私の心、らしい
嬉しいとか
悲しいとか
そういうものは
ちゃんと起きているみたいで
ピンクに弾けたり
青色に萎んだり忙しない
けれど
どこか遠くで
誰かが感じているみたいで
触れている実感がない
私のもののはずなのに
少しだけ
手に馴染まない
まあ
特に支障はない
そういうものなのだろう
#7. My heart
お金に困ったことはありません
いじめられたこともありません
家族は愛情を注いでくれます
部活も学業もがんばりました
一端に恋だってしました
将来だって見えていました
幸せなんだとわかっていました
ちゃんと揃ってるはずなのに
なにがかは どこがかは わからない
傾けてみると音がするの
#6. ないものねだり
良かったね また仲良くしようね
なにもかもが解決したような言葉
そっと奥歯を噛み締める
何も終わってない
納得なんかしてない
ただ私が我慢しただけ
ごめんなさいより先に
そんなつもりじゃなかったが出てくる
あの子を許しただけ
嵐を乗り越え 絆が深まった?
いいえ 深まったのは溝
もう空は晴れ渡ったね?
いいえ いつもしとどに濡れているわ
#5.ところにより雨
あなたが大事よ とても
あなたの話を聞いている間は あなたの視線を
あなたの手を引いている間は あなたの温度を
あなたに教えている間は あなたの師という立場を
何も持たない私が得ることができる
この地獄では誰も 最下層の私に見向きもしない
私より下にいるあなただけが
私を人たらしめる
皮肉なものね
最初はあなたの視界に入ることに価値などなかった
今じゃあなたに手を離されたら私は生きてはいけない
この暗闇であなただけが私を照らしてくれる
こんな私と一緒に歩いてくれる?
こんな私に温もりを分けてくれる?
#4. 特別な存在 →#2.