川原

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11/5/2024, 1:11:48 PM

「一筋の光」

買い物してたら
期間限定のお菓子が店頭に並んでて
これ あの人が好きだったなあって

だってミルキーのソーダ味ですよ
メリーのパチパチ弾けるチョコとか
よく買ってたんですよあの人

でもあの頃はもう食欲が落ちていて
酸っぱいものとかわさびとか
刺激のあるものばかり食べていたから
精一杯 パチパチの刺激で就業時間まで
耐えていたんだろう

懐かしくて一瞬 手を伸ばしたけど
やめて のど飴を買いました

あの人は一筋の光でした
光を失った世界で
進み続ける為に 私は今日は
プロポリス入りののど飴を買って帰りました


11/3/2024, 9:15:27 AM

「眠りにつく前に」

布団に入ってから
その日あった事の
ひとり反省会をよくやる

あの一言は余計だっただろうか
あの一言が足りなかっただろうか

あの人にこんな事を言われた
ちきしょうめ
でも大概は
眠りにつくと
翌朝はさっぱりリセットされていて
リセットされてない事だけが
大きな問題として靴の先に入った小石になる

誰かに話して
靴を脱いで小石を払うように
リセット出来る事もあるし
話した事が 別の小石になる事もある

自分で入れた小石なら
いっそ自分で払ってしまおう
明日の朝の私のために
バッサバッサ払い落として
枕元に綺麗な靴を揃えて眠ろう

10/13/2024, 10:55:51 AM

「子供のように」

子供のように じゃぶじゃぶ泣いて
幼子のように 地団駄を踏み
赤子のように 無防備に眠る

目が覚めたら
世界はひと皮剥けていた
傍に世界一つ分の抜け殻
新品のリモコンにくっついてる
フィルムのよう

まぶたは目やにでバリバリ
取り敢えず抜け殻を手に取り
ぼんやり眺めている自分は
大人なのやら子供なのやら

日の光を反射して 眩しい抜け殻に
鏡のように
むくんだ瞼の女が映っている




10/13/2024, 3:57:31 AM

「放課後」

「おう 早く帰れよう」
三階の廊下から学年主任の声が響いてくる
いつの間にか日も落ちて薄暗い教室

冗談で 暗闇先生と名付けていた
暗闇先生が巡回に来たら帰る時間

2年生になったらクラスが分かれてしまったので
部活が終わった後は
隣の教室に行ってダラダラお喋りしていた

あの時の先生の顔は覚えてないけれど
不思議と巡回の時の声色は覚えていて
今でも夕暮れの帰り道に
たまに思い出す

早く帰れよう 

校舎に 大人に
守られていたんだな
あの頃の私たち


10/11/2024, 11:20:30 AM

「カーテン」

何もかも上手くいかない
暗い感情が渦を巻いている

カーテンの隅に 少しだけついたシミみたい

ただ聞いて欲しくてこぼした弱音に
「あのね 相手に期待するから辛いのよ」と
ド正論を返されて


貴方に解決して欲しかった訳ではなく
ただ 
話しておきたかった
それだけだった

了解です
「貴方にも」期待しない事にします
金輪際 愚痴も言うまい

透けて見える傾聴のテクニックが
やわやわと滲んで
シミになっていく


明日 カーテンを丸洗いして
キレイさっぱり 流してしまおう
拗ねるなへこむな
私を私が憐れむな




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