「風に乗って」
初夏の匂いが
お前はどうしたいのかと
問いかけてくる
どうもこうも
どうしたもんだか
答えは保留
皆 旅立ちました
お前を置いて
一人で地を這う 覚悟を決めるか
翼を取り戻し
あの頂きに帰るのか
風に乗って
答えは保留
石段に腰をおろし
花弁の散り際をを眺めている
「刹那」
刹那
自分も含めてその言葉を
実際の会話で使っているのは聞いた事がない
だけど小説ではよく見る言葉だ
あとは何があるかな
憧憬 とか
道行 とか
旅情 とかかな
紙の上で踊る美しい言葉たちを
舌の上で転がして
たまには使ってみるのも悪くない
そんな事を言い合える貴方が
今 此処に居たらいいのに
刹那の願いが 叶えられたらいいのに
「生きる意味」
そんな事を考えるのは
おそらく地球上では人間だけで
意味を 考えてしまうから苦しい
争いや災害や 事故や病で
失ってしまった 命は皆 等しく尊い
愛する人を 次々に見送って
後悔するばかりのわたしに
命の意味など 聞かないでください
だけど例えば
春が巡れば咲く桜
山椒の枝に止まるアゲハ蝶
真夏の熟れたトマト
雪の下の青菜葉
ただそこに居て
天を見上げて
ただ 今日を営む
「善悪」
私の善悪の判断が正しいとは限らないし
あなたの言う 善い人と
あなたが思う 悪い人の
物差しは私とは違うもの
学生時代の先生も 部活の顧問も
善い先生だと言う子もいれば
合わない子達もいた
オタクに嫌われてた担任は
派手好き女子には受けが良くて
ご本人も喜んでイジられてた
誰かの悪意をマトモに受けてしんどくなると
いつも 夏の海水浴場を思い出す
浜辺に捨てられ山と化した
コンビニ弁当の容器とペットボトル
平気でこんな事する奴らがこんなに居るのだから
平気で人を傷つける奴も 山と居るのだと
少なくとも 私は海に行ったらゴミは持ち帰る
それだけは揺るぎない 悪を蹴散らす善だ
「ルール」
それぞれの意見を尊重しましょう
それが 令和のルール
多様性って言えば なんとなく収まってる風になる
みんなのためと言って
自分の為になりそうな事を主張して
自分が気に入らない事は排除したい
カッコ悪いよ
せめて 反対するのは
まずは わたしがやりたくないからって言おうよ
皆の為を思って なんて逃げないで
泥臭くてもいい
引かれてもいい
わたしはこうしたいと言おう
そして 貴方はどうしたいと聞こう