川原

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4/16/2024, 1:41:36 PM

「夢見る心」

昔 母が 子供だったわたしに
「きちんと寝床を整えて寝ると
お姫様の夢が見れるんだよ」と
布団の敷き方を教えてくれた
風呂場で足の踵の洗い方を教えるような口調で

現実的で実用的な事しか言わない母にしては
珍しい ファンタジー設定だった

口調が棒読みで
本当にそんな夢が見れるとは思っていないのが
バレバレだったけど
私も お姫様の夢は
特に見たいとも思わなかったけど

ただ たまにうなされて いつだったか
怪獣が夢に出て来たと泣いた事は覚えている

「かいじゅうがわたしのドーナツ
たべちゃったんだよ」
トイレで暫く泣いていたらしい

寝ぼけて泣く子を布団に戻し
シーツの皺を伸ばして
掛け布団を掛けて
お妃様は 姫君よりも先に眠りについたのです

その晩 夢を見たのかどうかは 覚えていない

4/15/2024, 10:10:25 AM

「届かぬ想い」

届かなくていい
そう思いながら

本当は気付いて欲しい
私の言葉を 聞いて欲しい

笑いかけて欲しい
頷いて欲しい

首を傾けて 
また明日ねと 手を振って欲しい

フォトフレームの内側から
今日も 届かぬ思いは
空を漂う

4/14/2024, 11:02:52 AM

「神様へ」

私にとっての神様は どの神様だろう
八百万の神か オンリーワンか
トイレにも神様はおられるらしいし

それとも 天に旅立った 思い出の中の人たちか

神様 もしも 私の声が聞こえたなら
私に自由を
私だけの人生をください
誰にも縛られず 
心から笑える日々を取り戻す勇気と力をください

私の中にも多分 神はいる
ひっそりと 祈る 
声よ届けと
鐘よ鳴り響けと



4/14/2024, 12:07:56 AM

「快晴」

散り行く桜を見送るような青
また来年 此処でお会いしましょう
私は葉桜 しぶとく次の春を待つ

可哀想な自分は、花びらと共に昨日川に流した
堀に沿った並木道 其々の桜が ぞろぞろ店仕舞い

並木道が連なるこの川は 更に先まで街を横断し
田んぼに畑に水を与え 海へと続く

海を思い 春を思う
生まれ故郷の 海沿いの町も多分 今日は快晴
私は葉桜 しぶとく次の春を待つ


4/12/2024, 10:30:38 AM

「遠くの空へ」

桜の時期は忙しくて
ここ数年は通勤途中に咲いたな、散ったなくらいの認識で居た

今年は仕事は余裕が出て来たけど人間関係に疲れ
癒しを求めて
会社を休んで近所の桜並木を訪れた

足を止めて見ている二人連れやカメラを構える人
それぞれに好きな木や角度を探してぐるぐると
自分の木を探している

何故だか自分に話しかけているような木に
必ず巡り会うという

堀の周りをぐるり
一本の桜に足を止める
ああ やっぱり この木だった
久しぶりだね
◯◯
今はこの木に宿ったんだね

花びらのざわめきがふっと止んだ
またいつか お会いしましょう
空を仰ぐ


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