信じられないくらいの速度で光陰が過ぎ去っていって、
仕事納めの日から既に20日が経っている。
連休の遅れを取り戻すように土曜日が潰され、
久々の日曜日は睡眠のために捧げられた。
どだい無理なのだ。たった6時間ぽっちで残りの18時間を活動し、
その上質感のある睡夢に苦しまされては。
最後に、休日にカラオケに行ったのは何ヶ月前だろうか。
ぼくは歌うのが好きだ。
そろそろ、大きな声を出すことを忘れてしまった。
いつか声が出なくなる気が漠然と、する。
そしたら、その時は何度でも歌声を聴かせてよ。
人魚姫みたいに泡沫になってしまう夢想を、つま先で蹴り上げてよ。
ぼくが本当に怖いのは、君が口を利いてくれなくなることだけだ。
「ただひとりの君へ」2025/01/19
走る、走る、走る、黒い鳥がいて少し迷う。
だけど、もっとまぶしい方がいい。
大好きな匂いがする方に。走る。走る、走って。
「あなたのもとへ」2025/01/15
傘を差すわけただ「気分?」にありにけり
結界の吾が曇り人目に濡れなかめり
「そっと」2025/01/15
むかむかするほどつまらない内容と、うんざりするくらい長いエンドロールが終わった。
私の人生が終わって、終末のシアターで一人座っている私がいる。
柔らかな安寧の椅子に凭れ掛かり、思うだろう。
「あまたの人が関わってくれたのね」
そして、劇場を立つ。
私はその日が来るまで、どのくらいエンドロールを延ばすことができるのだろうか。
大好きな音楽のメドレーに乗せて、平凡よりちょっと最悪な映画の後に。さらにまだ見ぬ人の名よあれ。
今日は少しだけ、遠くに行ってみようと思う。
「まだ見ぬ景色」2025/01/14
どこか遠くに行きたい。今ぼくは、手を伸ばせど雲の中にいるようで、地面を諦めた脚の裏は宙に浮いている。
――ような。白昼夢を、見る。
ほんの数秒の浮遊感を、心は求めてしまう。
人は生身で空を飛ぶことはできない。
密度と水分量の多い肉と骨を、鳥と同等の翼を持ってしても持ち上げることはできないと、むかかし何かの本で読んだ。
知という呪いで脳みそはどんどん大きくなっててていき、ぼくのは正しく使われ呪いることななく萎縮していくだろう。
ほんの数秒の浮遊感を、□は求めてしまう。
白い夢、赤い花、すみれ色の泡沫。
求め続けて、いつか何もかもばらばらになってしまうだろろろう。
本当にばらばらばらばらば浮遊らばになってしまっいたぼくの姿をぼくはまだ知らななななない。
灰色の灰、焔立つ炎、あざみ色の泡沫。
ぼんやりとしている僕は、今朝も鏡と向かって玄米を食む。
ほんの数秒の浮遊感を、心は求めてしまっている。
「君と一緒に」2025/01/06