精々「命」じゃないだろうか。金より大切なものなんて。
お金が大好き。そんなことは全員同じで、違うのはそのためにどこまでやれるかだ。俺は金のため、命以外のコストならいくらでも差し出すことができる。金を手に入れることも、金を使うこともこの上なく好きだからだ。その快感を得るためなら、俺は如何なるリスクも労力も喜んで支払おう。
──が、そう考える人間は少ないらしい。金を前にして尚、倫理や道徳を捨て置けない者もいれば、逆に大金に目をくらませ、平気で危ない橋を渡る者もいる。俺にはどちらも理解し難い。
命が無ければ、金を手に入れることも使うこともできない。だから己が命だけは、金よりも大切であると認めてやろう。
お題:お金より大事なもの
月が綺麗ですね、なんて、言ったらあっという間に顔が火照ってしまいそうなセリフ、囁いたことはないけれど。
仮にそんなセリフを吐いたなら、察した貴方はどんな反応をするんだろう。「俺も」って微笑む? 分からないふりで首を傾げる? それとも、貴方も照れちゃって二人して黙り込む? 試してみたいなぁ。
そんなことを考えちゃうくらいには、今夜は立派な満月。珍しく子供たちも寝静まっていて、お月見するには絶好の夜。
ベランダに出ればもっとよく見えるのだろうけれど、冷えてしまうし窓は閉めたまま、ガラス越しのお月様も十分綺麗。
ぼんやり外を眺めていると、聞き慣れた声と足音が耳に届いた。「どうしたの」って、微笑む貴方が隣に座る。
「うーん…空を見てたの。ほら見て、お月様、綺麗だね」
お題:月夜
特別大きな出来事があったわけじゃない。大事件も、大ピンチも、大冒険も、どれひとつだって共にした覚えはない。
あなたのことが、特別好きなわけでもない。あなたに強い興味もない。深く知ってるわけでもない。
あなたがどう思ってるか知らないけど、別に大した関係じゃないよね? 私たち。友達と呼ぶにもなんか癪だし。
でも、長く会わなければ無事を祈るし、久々に見た姿が、前と変わらない、人の心配なんてどこ吹く風の軽薄な笑みなら、溜息にだって安堵が混ざる。
別に仲良しとかじゃないけどさ。そうするくらいの権利なら、私にもあると思っていいよね。
お題:絆
──たまにはいいか。
そんな思いで洋菓子を買い物かごに放り込む。別に買ってきてなんて頼まれてないけど。
スーパーに売ってるような安いスイーツでも、まぁ買って帰れば喜んで食うだろう。甘いモン好きだし。…俺も大概ご機嫌取りだろうか。雑に機嫌を取っている自覚ならある。
うーん、でも、何か企んでるとは思われたくないな。そうだ、もう一つ買ってこう、俺の分。俺が食べたかったからついでに、一緒におやつタイムしようぜ、というテイで行こう。
特に理由なんてないんだけど。やらかして機嫌を損ねたわけじゃないし、これからやらかす予定もないし。
だから本当に、たまには棚ぼたがあったっていいか、って、思っただけなんだけど。
お題:たまには