神様が種を植えた。
種はやがて発芽し上には大きく大きく無数の枝となって分かれていった。下には深く深く根を広げていく。
神様はこの種を大切に大切に育てた。知識を与え、言葉を与え、力も与えた。
種は花を咲かせ実を作り再び種をばらまいた。今度は神様の手を借りず、自分たちの手で種を育て大きく大きくして行く。やがて花が咲き実を実らせ再び種をまく。これを繰り返していくうちに世界ができた。
神様は喜んだ最初はあんな小さかった種がいつしかとても大きくなったのだ。
神様はこの大きくなった種と世界を見つめ、もう自分の出る幕はないと悟り、他の地へとんで行った。
種は発芽し大きくなり、花を咲かせ実を実らせ種をまく。これを繰り返していくうちに、種は神様から教えてもらった知識が言葉が力が薄れていった。昔は分かったありとあらゆる万物の知識も今では上辺の意味しか分からない。昔はどんな言葉も喋れたし理解できたのに、今では同じものの言葉ですら本当の意味で理解できなくなった。昔はどんなものも倒せる力があった。だが今は自分より大きいものを倒すとなると一苦労する。
種は知識、言葉、力だけでなく神様という存在すらも忘れかけていった。ある種は神様なといないと言う。また種は神様は存在するという。中には崇拝する種も出てきた。
だが困った時はこぞって皆こう言う
「神様お願いします。どうか我々をお助けください。」
しかし神様はその声に耳を傾けることはなかった。
このことにある種は怒り神様を罵り、ある種は嘆き悲しみ、ある種はそんな種たちを見て呆れた。
それでも、たとえ神様が耳を傾けてくれなくとも、手を差し伸べてくれなくとも、最後に種たちは祈るのだった。
「神様お願いします。どうか我々をお助けください。」と…
神様は種を植えた。今度はどんな芽が出てくるのか楽しみに…