『高く高く』
子供の頃、
じいちゃんと従兄弟と
河原で凧揚げをするのが、
正月の三が日が過ぎてからの
恒例のイベントだった。
高く上がるように
二巻の凧糸を繋いで長くして
風に乗せて
上へ上へと
糸を操り凧を風へと導く
高く上がると落ちたらどうしようと
不安になりながら
ゆらゆら動く凧のバランスを保ちながら
糸を引っ張ったり
糸を緩めたり
青空に
誰が一番高く揚げられるのがと
競ったのを思い出す。
今では
凧揚げも
自由にできない社会に
なってしまい寂しい。
『星座』
昔の人は
想像力が
豊かだったんですね。
だって
それぞれが何万光年以上離れているもの同士を
点と点を繋いで
何かで例えてしまうのだから。
わたしは
あの星と星が、何座のどの部分かなんて
未だにわからない。
かろうじてわかるのは
柄杓とオリオンのベルトくらいかな。笑
『きっと明日も』
きっと明日も、天気は優れないだろう
きっと明日も、忙しいだろう
きっと明日も、予定が狂うだろう
きっと明日も、疲れるだろう
きっと明日も、帰りが遅くなるだろう
でも
きっと明日も、普段と変わらず平凡で平和な一日であるのは、良いことだろう。
『静寂に包まれた部屋』
実家を出てから10年ほどしたとき、
両親が旅行に行くので実家の空気の入れ替えを頼まれた。
そのため、久しぶりに一人で
実家に泊まることにした。
思い返すと
いつも家に帰ると誰かのいる空間だった。
主が居ないだけで
家がひっそりと静まり返る。
いつもは古めかしくて懐かしい雰囲気が
生活音の無い今宵は、
家の明かりの灯らない暗闇から不気味な雰囲気か漂ってくる。
会話が無くても
喧嘩していても
誰かが傍に居てくれることが
とても心強いことだと思った。
『声が聞こえる』
私を呼ぶ声が聞こえる
相手が名乗ったり、
姿を見たり、
ディスプレイの表示を見ることで
誰が呼んでいるのかを認識している。
もし、目が見えなくなったら
自分は誰と話しているのかを
認識することができるのだろうか。