今日も変わらない空。照りつける太陽。
夏の匂いがする。
背中にじわりじわりと汗が広がっていく。夏はまだ終わっていないが心なしか蝉の声は小さくなっているような気もする。子ども達の遊び声、恐らく公園が近いからだろう。木の影に腰掛ける。少々疲れたのだ。
ミーンミンミンミン
目を瞑れば私だけの世界に入れる。
そこには独りぼっちで病弱の私はいなくて、
皆んなに囲まれて楽しそうに過ごす私が居る。でも段々と私が望んでいたのは、求めていたのはそんなものではなかったと気づいた。最初は喜びと満足感だけだった筈なのに、心のどこかではもっと、もっと、と貪欲な承認欲求が暴れて私を蝕んだ。
空想は理想で理想とは虚像だ。
唐突に理解したのだ。理解して、理解してしまって、
分からなければどんなに楽だっただろうなんて。
所詮、空想など自分を守る為の愚かな嘘なのだと。
ミーンミンミン
嫌だ、いやだと逃げて、逃げ続けていた。
煩い蝉の声に目を開けて起き上がる。結局私は変わらない、変われるわけない。空と同じなのだ。変えることなど出来ない。なぜ、なぜ私は産まれてきたのだろうか。こんな病気を持って産まれてきて、生きるために、多くのお金を吸っている。こんなの疫病神と変わりない。
だが、死ねと言われても死ねる勇気もないのだ。
狭く、暗い檻だ、ねぇ出られないよ、鍵を開けてくれ。
誰か助けてくれよ。もう嫌だよ。儚くも眩い光が私の目を差した。青く、淡い空が紅く染まっていた。
夕焼け。
時間、時の流れは速い。気づけば数時間経っていることもある。へんか、変化。
‥‥なんだ、変わり続けているじゃないか。
ガチャ
見えていなかっただけで、無視していただけで、
変化し続けていた。
ガチャガチャガチ
毎日同じ天気なわけがない、
毎日同じ雲の形なわけがない、
ずっと、ずっと同じ色なわけがないじゃないか。
あぁあぁ馬鹿だ私は大馬鹿者だ。
ガチャン
こんな簡単な当たり前のことが分からなかった、
否、理解しようとすらしていなかったなんて。
分かっていた気になっていた。
自分に優しく出来ない奴は他の人にも優しくできない。
昔、小さい頃によく聞いたフレーズだ。
そうか、それはそうだな。
自分を救済出来るのは自分自身なのだから。
——-さあ、帰ろう。暗くなる前に——-
これは、とある少女の物語の1ページである。
—観測者 C より