「小さな勇気」
シャーシャーシャー
箱の中から小さな勇気の威嚇の声
箱の反りには小さな勇気の塊の子猫は
その先にいる先住猫を一丁前に威嚇攻撃を繰り返す
先住猫は箱の前に陣取り登って来ようとする子猫たちを前足でちょいちょい
一番先に登り始めた子猫は吃驚してすってんころりん。
下にいたきょうだい猫の頭を踏みつけている。
何回も登ってすってんころりんを繰り返す
何回も脱走を試みてみるが失敗の繰り返し
先住猫の前足がちょいちょい先に出ては
子猫たちは見慣れると互いに前足でちょいちょい
小さな勇気は好奇心の塊でもあるのだ
「終わらない物語」
最初から完結するつもりのない物語
後付け設定が増えすぎて終わりの見えない物語
スピンオフ作品の方が長すぎてシリーズ完結のない物語
「わぁ!」
襖の隙間からここぞとばかりにきょうだいを脅かすつもりで
突っ込んで来て、互いに「にゃにゃあぁっ!」と声を挙げたり
返り討ちにあったりする飼い猫の「わぁ!」は騒々しい有り様よ
「やさしい嘘」
嘘に強弱があるのなら
君が常に僕に付いてる嘘は
優しい…いや…こっちの優しいじゃなく
こっちの「易しい」嘘なんだね。
見抜けなかった
やさしい嘘
易しい嘘
でも
今日で
君のやさしい嘘は止めに行くよ
「瞳をとじて」
「ねぇ?瞳をとじて両手で皿を作ってよ」
「手で皿…?なに?」
僕は云われるがまま瞳をとじて両手で皿を作った
(なんだか…重いんだけど…?)
「いいよ。目をひらいて」
僕の両手で作った皿に落とされたもの
ワイヤーとテグスと色取り取りのビーズが入った小袋に9ピンにTピンが入ったビニール袋
「…まさかだと思うんだけど、ビーズアクセを作れ?」
「ピンポーンピンポーン♪色と形の組み合わせは任せるよ。
ピアスとチャームとチョーカーが良いなぁ」
僕は瞳を再度とじて溜め息を付いた
「あなたへの贈り物」
会社の帰り道に
あなたへ
お疲れ様の労いに
無糖珈琲を渡す
「…ありがと」
ぎごちないありがとは
私への贈り物でもあったりする