「やさしい嘘」
嘘に強弱があるのなら
君が常に僕に付いてる嘘は
優しい…いや…こっちの優しいじゃなく
こっちの「易しい」嘘なんだね。
見抜けなかった
やさしい嘘
易しい嘘
でも
今日で
君のやさしい嘘は止めに行くよ
「瞳をとじて」
「ねぇ?瞳をとじて両手で皿を作ってよ」
「手で皿…?なに?」
僕は云われるがまま瞳をとじて両手で皿を作った
(なんだか…重いんだけど…?)
「いいよ。目をひらいて」
僕の両手で作った皿に落とされたもの
ワイヤーとテグスと色取り取りのビーズが入った小袋に9ピンにTピンが入ったビニール袋
「…まさかだと思うんだけど、ビーズアクセを作れ?」
「ピンポーンピンポーン♪色と形の組み合わせは任せるよ。
ピアスとチャームとチョーカーが良いなぁ」
僕は瞳を再度とじて溜め息を付いた
「あなたへの贈り物」
会社の帰り道に
あなたへ
お疲れ様の労いに
無糖珈琲を渡す
「…ありがと」
ぎごちないありがとは
私への贈り物でもあったりする
「明日に向かって歩く、でも」
手には合否通知
テストは散々だった
一年流してまた一年頑張ろうと思う気持ちも財力もない
「ピコピコピコリン~♪」
ジャケットのポケットからスマホを取り出す
彼女からのメール
画面をタップする
「合否どうだった?まぁアンタの気持ちがあるだろうから、
合否結果は急がないよ。今日さ、運転良く檸檬タルトと檸檬パイ買えたから、
早く帰っておいで」
メールに檸檬タルトと檸檬パイの写真が添付されていた。
画面を閉じる際に誤ってスクロールしてしまった。
かなり画面が進んだ先には
「男だから稼がなきゃいけないとか家庭を守らなきゃいけないとかは
置いといてさ、今は今の時間を楽しもうよ?アンタはアンタは他所と比べていたら身も心も壊れちゃうからさ。」
僕の足は彼女が待つ家路と向かう
明日に向かって気を切り替えて歩く、でも、まだ払拭がしきれていない
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「羅針盤」
針がぐるぐる
一時停止したと思えば
またぐるぐる
人生の方針はまだまだ不安定
いつになれば方向は決まるのだろうか?
「手のひらの宇宙」
小さな球体に青と水と赤と橙と銀と金のビーズを閉じ込めて
自分だけの手のひらの宇宙を作ったけどやっぱり本物には敵わないね。
ねぇ?そっちはどんな惑星になりますか?
「ただひとりの君へ」
広大な空間に漂う君はまだ誰にも見付からなくてヒトリだけど
いつかは誰かが見付けて名前を付けてくれるから
あとほんの光年待っててよ