「寂しさ」
そこに居たモノの存在は
跡形も無いまま姿を消されてしまった
寂しさの虚空の姿よ
「冬は一緒に」
行灯片手に
アナタは訪れる
冬を連れて
冬は一緒にと
アナタは行灯片手に
もう片方の手は……
━風が吹き荒れて二人の姿は其処にはない
彼方側から来たモノに女は魅入られて━
「とりとめのない会話」
「後輩よ。明日は明日の風が吹くんだぞ?」
「…なんですか。急に…」
昼休みもあと10分で終わる中で僕は次の会議の資料を纏め作業中に
先輩は椅子に座ったまま移動してきた。
「西部劇でも見て影響受けたんですね?」
「失礼な」
何のとりとめのない会話をしながら昼休みは過ぎていく。
いつもそうだ。僕が残り10分の間に次の会議の準備や確認の作業の邪魔をされる。
「風邪」
「へっぐしっへっぐし」
出勤時からずっとくしゃみを連発をする僕。
どうやら一昨日から風邪気味らしい。
「可笑しい。新人よ、君は-5度の中でも薄着で居て平然としていたはずだ。何故気温3度の日に風邪を拗らせる?」
昼休みのオフィス内。
先輩は半風邪気味のすりおろした林檎が入った器を渡してきた
そもそもここ職場なのに何故すりおろし林檎があるんのだろうか?
「あぁ、林檎か。昨日顔見知りから貰ってな、昼飯後に食べようと
器とすりおろし板とともに持って来たんだ。しかし出勤時に後輩が咳き込んでるし、馳部から聞いたら風邪気味だと聞いてな、さっき給湯室ですりおろしてきたんだ」
丸ごと林檎と器とすりおろし板を持って出勤して来る人、
初めてみました。
「ありがとうございます」
僕はうさぎちゃんのイラストが書かれた子供用の器に入った
すりおろし林檎を一口運んだ
(ゲホゲホ)
噎せた。
待って?なんか漢方薬のような…味と匂いが若干するんだけど…
「あ、あの…せんぱい…林檎に何…入れたんですか?」
「なんだっけ?えーと、〇〇〇と〇〇〇〇と〇〇〇〇?」
入れちゃ駄目です。全てなるべく単品で飲むやつです。
「…素人考えでその手の飲み合わせ食べ物合わせをしないで下さい」
「ふむ。馳部が林檎とは合うのかと疑問に思っていたらしくな、
ちょうど私が林檎を持っていたのを知ってせっかくだからと。」
「せっかくだからと云ってなんの前触れもなくやらないで下さいよ。
下手をすれば命に掛かることですよ」
「ちっ…」
何処からともなく仕打ちをする声が聞こえた。
振り向くと僕の椅子の後ろには僕が座った座高と同じ身長の馳部さんの姿
「ふむ。馳部、合わせちゃ駄目らしい」
「知ってる。自分でやるの怖いから誰かに実験台になって貰おうかと
思ってる中でアンタが風邪気味だて知った中で林檎が手に入ったから、 林檎の成分と科学反応するかなて」
「…偶然に風邪気味の僕を見て偶然の偶然で実験台にされた訳ですか…。」
「あんまり効果無いみたいだね。あ、あとから効いてくるパターンかも。なんかあったらさ、連絡してよ」
馳部さんは屈託のない笑顔で云った。
貴女に連絡する前に救急車を呼びますよ。
この二人の前で風邪を引いちゃ駄目だと理解した僕だった。
「雪を待つ」
或る女の日記より
囲炉裏に火を入れる時期が参りました
今日は曇り空で雪雲ではありませんでした
アナタが来る頃は雪が降り始めています
毎日天喜予報を聞いては外を眺め
雪はまだか雪はまだかと一喜一憂しています
アナタの為に濁り酒を用意してます
雪が降り始めたら
アナタはこれ飲みに来て下さるのが冬の日課ですものね
囲炉裏に火が灯され
そばではヤヤが笑っています
アナタにまだお顔を見せていませんでしたね
あぁ雪が待ち遠しい
早く早く早く 雪が降らないかしら
アナタの柔らかい肢体が欲しいと
ワタシの密部が疼いているのです
雪はまだ先のようです
雪を待ちながら
アナタが来るのを
雪が降り待つ時まで