「何でもないフリ」
また先輩が頭を抱えている。先輩のPCには分割割した文章作成の画面に
キーボードの上には5枚のプリントに再提出の判子と再々提出の判子
「先輩。また何かやらかしたんですか?」
「失礼な。まだ何もしていない」
失敗する前提なんですね。失敗をしないと云う考えは、ないのかな?
僕は先輩からの机を離れ少し先の所でチラリと先輩は頭を抱える。
時々、先輩は僕から失敗を指摘されると何でもないフリをする。
先輩は誰にも見付からずに失敗を隠しやり遂げようとする。
僕から見ると逆効果でかえって仕事は増え悪循環。
失敗をやらかしても「何でもないフリ」して仕事をやり遂げるのが先輩と云う人物だ。
先輩はPCのキーボードを打ち始めたのだった。
「仲間」
仲間だと思っていた奴が仲間じゃなくなり
仲間じゃないと思ってた奴が仲間になり
本来の仲間の意味が分からなくなっていく
「手を繋いで」
実際に手を繋ぐこともないけれど、見えない所で、手は繋いでる。
手紙やハガキに宅配便にライフラインなどで。
手を繋ぐ。受け取りと引き渡しで。(正しくは繋ぎではないが)
手を繋いで(機械操作/遠隔操作だけど)作動させる。
工場と販売店に物品を受け渡す。食を繋ぐ
配線/配管を繋ぐ。手作業で繋ぐ。梯子車と繋ぐ。
ワタシたちの暮らしは見えない所で
大勢の人たちの手を繋ぎ渡しで支えられている。
「ありがとう、ごめんね」
万が一何かあった場合の為に予備の金を
ある場所に隠していた
そして今日こそがその予備の金を使う時がきた。
俺はその封筒を隠してる場所に手を入れて
封筒を取り出す
中身を見ると
あれ…?
封筒の中に一筆便箋だけが残されていた
やられた
俺のヘソクリを見つけ出して中身だけ取って封筒だけ戻しやがった
あの女…内緒で鍵を合鍵作って俺の部屋に入って探したみたいだ
「ありがとう、ごめんね」と書かれた
一筆便箋をグシャと握り潰した
「部屋の片隅で」
部屋の片隅で眠っている新聞の切り抜きや
公共施設の特別企画展のチラシ(フライヤー)
一年間のシメとして記事の切り抜きと特別企画展のチラシを
仮の保管箱から取り出し整理しながら
一年間の興味を本命の保管ケースに仕舞い込む。