声が聞こえる
意識が急激に覚醒する。
「もー、なにやってんの?」
そう言って貴方は笑った
「…っなんで?死んだ筈じゃ…」
「勝手に死んだことにしないでよ~」
思いっきり抱きつくと、困惑しながらも笑って抱き締めてくれた
「良かった……!」
…そうやって、思ったのに
気付いたら私はベットの上
全て夢だった
でも、抱き締めた時の温もりは本物だった
「…っなんで…」
私はまだ、受け止められない
今日もまた夢の中で…
貴方の声を聞く
大事にしたい
お母さんの寝室にいくと、そこには横たわったお母さんの姿
「お母さん、今日学校でね……」
返事のない会話をする。
二ヶ月前には元気に話していたとは想像もつかないその姿
病気の進行は進み、もう飲食できない状態に
点滴をやらないと拒んだ私達
やっても苦しいだけだと思ったから
このままいけば二週間もないその命
今にも消えそうな命の灯火を今日も見守る
残された最後の時を大事に
一日一日を宝物のように思い出の箱にしまっておこう
この時を最後まで大切に……
時間よ止まれ
もしこの世界の時間が止まったら
私はどのような行動をとるのだろう
いたずらに使う?犯罪に使う?それとも誰かを助けるために使う?
どの選択肢を取ったとしても
時間は自分の中で進み続ける
"私"という存在の中では時が止まることはない
今もそしてこれからも永遠に
夜景
私の家から見える夜景はそんなに綺麗ではない
でもなにもないかと言われると、それも違う
マンションの十階から見える夜景
住宅街から遠くにある山
工場が立ち並び田んぼがある
田舎とも都会とも言えない
そんな風景が見える
いつか、東京の夜景を見てみたい
きっと、この夜景とは違う夜景が見れて
私に新しい風景を見させてくれるだろうから
空が泣く
空が泣いている時は誰かが泣いている
そう言っていた君は、いつも笑っていた
泣いているところなんて見たことなかった
そして最後の時も、笑っていた
頬に水が滴る
何で、何で、あいつが死ななくちゃならなかったんだよ
空はその間ずっと泣いていた