″すれ違い″
「あ、猫」
都会の方ではあまり見ない、塀の上でくつろぐ猫を見つけた。ぶっちゃけよくそんな硬いところでくつろげるなと思わんこともないが、まぁ日向だし心地いいのかな〜とか何とか考えたり。
「ばいばーい」
さっさと学校に行かねばならぬ。学生の本分は勉強だとか言われるが学生のうちにその言葉に納得できる人はほぼいないと思うんだよなぁ〜。
「あれ?また猫がいる」
珍しい。野良猫を見るだけでも中々ないのに塀の上の猫をまた見つけた。
「今日は猫に好かれてるなぁ」
「おーい…なんでだよ…3回目はもうおかしいだろ…」
また塀の上の猫だ。つか3回とも同じ猫じゃね?
「あ?ちょっと待て」
こんだけ歩いてるのに景色が変わらないなんてことあるわけないじゃんね
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「あ、猫」
″秋晴れ″
キンモクセイの香りがする
嫌いなんだよな、この匂い
「お待たせ」
「今年も咲いたね、キンモクセイ」
「そこら中で匂いがしてさ、秋が来たなーって感じがするよ」
「…君のせいで秋が苦手になっちゃったよ。責任とってくれないの?」
ただの灰色の石に話しかける私は、あの日からずっと止まったまま
「早く冬来ないかな」
″忘れたくても忘れられない″
空気が止まった
姉の腹を切り裂く寸前で包丁は止まった
「どうして言う事を聞けないの…!!?」
「私が悪いっていうの!?!」
何度も何度も母が叫ぶ
包丁を持った手が震えている
なんでだろう
悲しみよりも…どちらかと言うと喪失感のようなものの方が強い
人間としておかしくなっちゃったかな、私
泣きじゃくる姉、狂ったように金切り声をあげる母、それを呆然と見るだけの私
壊れちゃった
″やわらかな光″
チュンチュンチュン、チュチュンガチュン
「リズムおかしいだろ。なんだチュチュンガチュンって」
やかましいチュン、早く起きるチュン
「脳内に直でくるんやめて??」
起こしてやってるだけありがたいと思えチュン
「図太いわ〜こいつ、あの日拾ってやった恩を忘れたんか」
もう起こさねーチュン
「すみませんでした起こしてください」
いやだチュン
「マージで起こしてホントに。俺一日中寝てることになるから。人間じゃないけどヒトっぽい生活はしたいじゃん」
おまえ僕が来るまでどうやって過ごしてたんだチュン
「え、あの光で自然に目を覚ませるように浅く眠ってた。でもそれだとあんま寝た気しねーんだよ」
起きたい割に深く寝たいのかチュン面倒なやつだチュン
「まぁね〜。今はお前があの光の代わりってことで」
くさいこと言ったはずなのに内容がダサいチュン
「もっと俺に優しくして!?!?」
″鋭い眼差し″
ジュー
「お、何作ってんの?」
「唐揚げ〜。夕飯は唐揚げがいいって聞かなくて」
「いーじゃーん唐揚げ唐揚げ」
「つまみ食い禁止だよ」
「ちぇー」
「…よし、我らが愛しのお姫さま。今です!」
キラン☆
シュバッ
あーーー…?
「今です!じゃないのよもう」
「ママの目はごまかせなかったか〜」
むぅー…
またあしたちょうせんだ!