″手を繋いで″
懐かしいね〜
若い頃もこうやって手繋いでたっけ
最後に手繋いだのって何年前だ?
もう40年は経ってるか?
随分長く君の手の感触を忘れていたな〜
迎えに来たよ。
生きていてくれてありがとう。
「遅くなってすまないな。
迎えに来てくれてありがとう。」
天国までの片道切符を老衰で死んだおじいちゃんにプレゼント〜!
「そのジジイを40年以上待ち続けた若いもんはどこのどいつだ?」
ここのこいつです〜!!話したいことが沢山あるんだ!ちゃんと最後まで聞いてよね!
「ああ、聞かせとくれ。儂も話したいことは山ほどあるからな。」
じゃあ行こうか
仲良く手を繋いで!
″わぁ!″
静かな
静かな
白銀の世界
眠たい、な…
こんなに綺麗な世界で、眠れるなら、どんなに、幸せだろうか
なんて、考えてみたり…
ーーーーーーーー
「わぁ!こんなところに熊いたんだ!
…あ、でももう死んでるな。冬眠のための餌足りなかったのかな」
″すれ違い″
「あ、猫」
都会の方ではあまり見ない、塀の上でくつろぐ猫を見つけた。ぶっちゃけよくそんな硬いところでくつろげるなと思わんこともないが、まぁ日向だし心地いいのかな〜とか何とか考えたり。
「ばいばーい」
さっさと学校に行かねばならぬ。学生の本分は勉強だとか言われるが学生のうちにその言葉に納得できる人はほぼいないと思うんだよなぁ〜。
「あれ?また猫がいる」
珍しい。野良猫を見るだけでも中々ないのに塀の上の猫をまた見つけた。
「今日は猫に好かれてるなぁ」
「おーい…なんでだよ…3回目はもうおかしいだろ…」
また塀の上の猫だ。つか3回とも同じ猫じゃね?
「あ?ちょっと待て」
こんだけ歩いてるのに景色が変わらないなんてことあるわけないじゃんね
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「あ、猫」
″秋晴れ″
キンモクセイの香りがする
嫌いなんだよな、この匂い
「お待たせ」
「今年も咲いたね、キンモクセイ」
「そこら中で匂いがしてさ、秋が来たなーって感じがするよ」
「…君のせいで秋が苦手になっちゃったよ。責任とってくれないの?」
ただの灰色の石に話しかける私は、あの日からずっと止まったまま
「早く冬来ないかな」
″忘れたくても忘れられない″
空気が止まった
姉の腹を切り裂く寸前で包丁は止まった
「どうして言う事を聞けないの…!!?」
「私が悪いっていうの!?!」
何度も何度も母が叫ぶ
包丁を持った手が震えている
なんでだろう
悲しみよりも…どちらかと言うと喪失感のようなものの方が強い
人間としておかしくなっちゃったかな、私
泣きじゃくる姉、狂ったように金切り声をあげる母、それを呆然と見るだけの私
壊れちゃった