光と闇の狭間で
やぁこんにちは。
ここはどこかって?
そうだな。だだっ広くてどこもかしこも真っ白で
君と僕以外誰も居ない空間だね。
まぁまぁ。少しだけ僕の話を聞いてくれよ。
なにかで1番になる奴がいるだろう。
野球やサッカーでも、勉強でもなんでもいい。
そこで1番になる奴は他の人らから褒められるだろう、羨ましがられるだろう、祝福を受けるかもしれない、
幸せになれるかもしれない、
ガラガラピシャッ。
「せんせーちょっと聞いてよ〜」
少々暗くされども明るい声が第2理科準備室へ響いた。
先程の声はこの高校の女子生徒のもので
『記憶をなくそうが何度でも』
ちーっす!
ちょーっとお話いいですか?
「…あなた誰ですか?こんなとこ来たら危ないですよ」
……
あっははは!!
そんなの君も同じじゃないっすか!?
俺に言うんならあんたも危ないでしょ!
だからとりあえずこっち側行きましょ!ね!
「ちょっと、…」
あ、まだ自己紹介してなかったっすね!
俺はんーそうだなー、
あんたのこと救いに来たヒーロー的な奴っす!
「…は?」
何言ってるんだよって顔っすね!
でも俺には名前が無いんでこう言うしかないんすよ笑
…ますますわかんなくなったって感じっすかね笑笑
まぁいいや!
ねぇ、あんたさこれから死ぬの?
「…それはあんたに言わなくちゃいけないこと?」
そっすね〜言わなくてもいいっすけど、
まぁわざわざこんなとこに来てさっきみたいなことしてたら分かっちゃうっすよね笑
「…ぃよ」
「…もう疲れたの!仕事もできない、上司からのセクハラ訴えてもこいつの頭がおかしい認定、母さんは不倫して私まで巻き込んだ挙句離婚。ずっとこんなクソみたいなとこにいたら本当に頭がおかしくなりそうよ!」
うんうん。よく吐き出せました!
こんなクソみたいな世界が嫌なら、
俺と一緒にどこか遠い場所に逃げ出しませんか?
「…え、なんでそんなに簡単に言えるのよ。」
え?だって簡単だからですよ〜。
言ったでしょ?
俺はあんたを救いに来たヒーローだって。
ヒーローはなんでもできるんすよ!
「…」
ねぇ、あんたさ俺に名前つけてよ。
あんたが呼びたい俺の名前。
あんたが俺に名前つけてくれたら
俺はあんたとずっと一緒に居るし
あんたをずっと守ってあげる。
ねぇ、どう?
(私は彼の手を取ってもいいのだろうか。)
取っていいよ。
(___,!!)
「…とおる」
「あんたの名前は透」
透かぁ!いい名前じゃん!
ありがとう。
すごく嬉しい。
ねぇ、あんたの名前まだ聞いてなかったんだけど?
あんたの名前、教えてよ?
「律」
へぇー律って言うんだ!
じゃあ律!今からどこへ行く?
律はどこに行きたい?
「2人だけの世界に連れてって」
りょーかい!じゃあ行こっか!
律が落としかけた大切なモノ。
これからは俺が守っていくから、
どうかどうかまだ終わらせないでおくれ。
記憶をなくそうが何度でも、
俺が守っていこう。
彼女が自らの手で
自分を終わらせることのないようにと願いながら。
﹋﹋以下設定などなど
最後まで読んでくださりありがとうございます。
今回は自殺志願者をくい止めるお話でした。
まぁ、それは表向きの設定なんですけど、
個人的には何年も何百年も続いている両片思いみたいなのが好きすぎて今回の「終わらせないで」というテーマに無理矢理関連付けました笑。
設定
・場所は「高いビルの屋上」で律が自殺しようとしてる
・律は生まれ変わっても生まれ変わっても不憫
・律には前世の記憶は無いけど透の名前だけは安心するので覚えている
・自殺理由現代っぽく
・透は前世の記憶ありでずっと律に片思いしている
↳ずっと律の近くで生まれ変わることはできないので律を探すのがすごく大変なはずだけど、まじですぐに見つける
・1度律が川に身を投げて自殺したことから透は律を生まれ変わっても生まれ変わっても守ろうとする。
愛情とは、
生まれた時に母や父から贈られた最初の宝物であり、
過ごしていく時に自分の大切な人らから、与えられ、
自らも与えていくものであろう。そして私が朽ちていく時に今まで私が与えてきた愛情がかえってくるのではなかろうか。