不完全な僕
流されるように生きたらどこにたどり着けるのだろうか。
この考え方で生きている限り主体性を持っては生きられないと、ずうっと思っている。
心の健康
目に見えないものの健康なんでどうしたら守れるのさ。
これっぽっちも分からない。
分からないのに、心は確実に傷ついてる。
少しずつ、確実に。
ストレス耐性なんてあるわけないだろ、と思う。
あるのは耐性じゃなくて、少しの意地だ。
逃げたくないし、負けたくない。
しょうもない感情の為だけに立ち向かって、泣いてんのが馬鹿らしい。
健康なんてどうやって維持したらいいか分かんないよ。
つまらないことでも、逃げ出したいと、そう思うことはある。
私は逃げたい。どこかへ。
私が私でいられる場所に、行ってみたい。
今一番欲しいもの
行ける場所も、行きたい場所もなかった。
昨日まで自宅だと思っていた場所には帰れない。帰ってくるなと、追い出されてしまった。
中学卒業したんだから、もう大人でしょ。もう就職もしたんだか、早く出ていってよ、と。
無心で必要なものを取るだけの許可を貰い、淡々と鞄に詰め込んだ。荷物なんてそんなにないから、一番重要だった通帳を持って家を出た。
特になんのお別れもないさよならだった。
目的地はないけど、家の近くにいても不審に思われるだけなので、どうしようか、考えながら歩く。
ホテルに泊まることは出来るのだろうか。
さすがにホームレスにはなりたくないし、頼れる友達も居ない。
住み込みか、寮のある職場を探せばよかったなと、ちょっとだけ後悔した。
今日泊まる場所を探して駅前に来たが、人が多くて気後れしてしまった。人口密度の低い場所を求めて駅から離れて歩いていたら小さな公園を見つけた。
日も落ちていたから誰もいない。歩き疲れたし、今後をどうするか考えよう、とブランコに座る。
大人になれば、1人でどこへでも行けると思っていた。
どうしよう、と考えても何もいい考えが浮かばない。
寂しいし、心細いし、とても怖い。
このままどこにも行けなかったら、どうしよう。
警察とか来る前に、どうにかしなきゃ。
だって、補導でもされたら、連れ戻されてしまう。それだけは絶対に、回避しなければ。
どこでもいいから居場所が欲しい。
無条件で、わたしがいても許される場所。
遠い日の記憶
暑い夏の日はファストフード店に限る。
とてもではないが、家で作業する気になれなくて、外に出て暑さにげんなりして、慌てて店内に逃げ込んだ。
隣に座った少年が、キョロキョロ見回していた。
視界の端に入る少年が気になりはしたが、わたしは仕事をしていたので、黙々とタブレットを操作した。
なんか微笑ましい。かわいい。
このくらいの時期の子供って、何しても可愛いんだろうなぁ。
仕事に集中しなきゃ、と思いつつも、視界に入る可愛い生物を考えてしまう。
少年のお母さんが後からやってきて、「大人しく座っていてね」と、恐らく注文するためにカウンターへ向かった。
少年は、大人しく、キョロキョロした。
確かに座っている。偉いな、と思う。
「パソコン開いてなにしてるの?」
隣から聞こえるトーンの高い声。
なんだ、天使は声まで可愛いのか。
暑さと仕事のストレスで狂いまくった頭がおかしい気がする。
パソコンじゃなくて、タブレットだよ、と言いそうになったけど3歳くらいの子供相手にそんなこと言えない。
「お仕事してるんだよ」
「お仕事?ここご飯食べるところなのに?」
「ご飯を食べたから、ひと仕事してるんだ」
トレーに残った包装袋と、飲みかけのコーヒーのカップ。
「ふぅん」
そして少年の興味は尽きたらしい。
母親が置いていったであろうスマホを触り始めた。
そんな様子も可愛くて表情が緩む。
わたしが子供の頃は、とても知らない人と、隣の席だからって話しかけたりはできなかった。多分今も出来ないし、やらないけど。
話しかけたり瞬間にわたしがやばい人になりかねない。
今の現代、怖い。
男が男に、女が女に、でもセクハラって成立するし、訳わかんない世の中。
でも、可愛いは正義は、今も昔も変わらないよなぁと、そう思った。