「波にさらわれた手紙」 #82
伝えたいことがたくさんある。
大きな秘め事から小さな日常の一コマまで。
あなたにだから、伝えたいと思うこと。
でも、怖くて上手く伝えられなくて。
もっと遠回しに、不確実に届いてほしかった。
それこそボトルメールのように。
誰かに届いてもあなたに届くかはわからないでしょう?
でも、やっぱりあなただけに伝えたい。
そんなの、無茶な願い事ね。
なんてわがままなのかしら。
「8月、君に会いたい」 #81
夏休み。
待ちに待ったけど、来て欲しくなかったかも。
だってあなたに会えないから。
たった一言「デートしよう」って言えばいいだなんて分かりきったこと。
それが言えないから困ってるの。
「眩しくて」 #80
眩しいものが苦手。だって周りが暗いように思ってしまうから。
だが、1つだけ好きな眩しさがある。
あなたとのやり取りが表示されたスマートフォン。
クリスタルのような言葉の欠片がたくさん詰まっていて、目を焼いてしまうのではと思うほど眩しい。
この光だけは周りまで、私まで明るくしてくれる。
「熱い鼓動」 #79
あなたの
逸らされた瞳が、ささやかで控えめな笑い方が、
いつもより近い息遣いが、ぎこちなく動く指先が、
ゆっくり紡がれる言葉が、緩い弧を描いた口元が、
私の心を揺さぶるの。
それが嫉妬か、渇望か、はたまた悦楽なのか
分からなくてもいいと思うほど、熱くて愛しくて、やけどしちゃいそう。
「タイミング」 #78
『クリスマスに近いと告白の成功率高いらしいね』
「告白するの木曜だから26?」
『終わってんじゃん』
『終わったから1番確率低い説』
「どうせあなたの答えは変わんないでしょ」
『かわるよ』
『あのクリスマスだよ?』
『クリスマス当日やったら絶対振らんもん』
『やっぱ告白水曜にしない?』
もしタイミングが違えばあなたの返事は違ったのかな。
それとも、クリスマスの話は伏線で振りたくないから水曜に提案してくれたの?