「隠された真実」 #62
好かれている、ような気はする。
嫌われてはいないだろうとは思う。
普通以上好き未満、みたいな感じ。
「私のこと好き?」
たった一言、聞けばあなたはきっと答えてくれる。
でも怖い。
十中八九、好きだと言ってくれると思う。
でも、好きの度合いが違いすぎたら?もし、何も返ってこなかったら?
その薄いヴェールの下に隠された真実が怖い。
「風鈴の音」 #61
チリン。
夜市の出店の風鈴の音。
惹かれて顔を上げた視線の先に、
あなたとあの子の姿があった。
あの子と一緒にいるという事実に対する嫌悪感。
たったそれだけのことで、風鈴のことを嫌いになってしまいそう。
それくらい、私にとってあなたは大きな存在。
「心だけ、逃避行」 #60
誰にも言えない、二人きりの秘密の関係。
まだまだ、世間では認めてもらえない関係。
同性同士の恋人。
それが私とあなたの関係性。
苦しいことも、辛いことも、たくさんある。
でも、あなたと話している一時だけはそれを忘れられる。心だけ、逃避行できる。
もし、認められなかったとき。
私にはあなたと駆け落ちする勇気があるだろうか。
「冒険」 #59
あとは、送信ボタンを、押すだけ。
……やっぱり無理だ、
この話題もなんだか違う気がする。
いつもはあなたがメッセージを送ってくれるから、たまには私からも送りたい。なのに変な話題を選んで嫌われないか心配でなかなか送れない。
だからいつも当たり障りのない話ばっかり。
あなたへの連絡は一寸先は闇の大冒険だ。
「届いて·····」 #58
お願い、聞いて。見て。届いて。
「あなたのこと、世界の何より大好きだよ。
きっと、世界の誰よりあなたのことを愛してる。
そして、多分あなたも私のことを好いてくれてる。
でもね、ときどき不安になるの。
あなたは本当に·····
··········やっぱりなんでもないや、」
届いてほしいけど、知られたくないかも。