「クリスタル」 #51
照らされれば照らされるほど、輝いて
照らされずとも僅かな光で、煌めいて
その光は数多の人の目を奪う。
お願いだから、そんなに輝かないで。
みんながあなたの美しさに虜になってしまうから。
あなたの煌めきを知るのは私だけでいいの。
クリスタルのように美しい、私の愛おしい人。
「夏の匂い」 #50
夏になると、
陽当たりの良い部屋からおひさまの匂いがする。
冬になると、
抱きしめたあなたからおひさまの匂いがする。
夏は、その匂いがより顕著だ。
だから、夏が好き。
あなたにぎゅっと抱きしめられてるような気がするから。
「カーテン」 #49
はらり、顔を覗かせる。
ひらり、何も見えなくなる。
じわり、涙が滲んでる。
くすり、笑う声がする。
ふるり、孤独ではなかろうか。
ざわり、誰かがいるようだ。
ふわり、風とカーテンが踊る。
くるり、あなたが振り返る。
ようやく、隠したがりのあなたの全てが見える。
「青く深く」 #48
あなたといえば空色。空といえば青。
だから、私の中であなたは青のイメージが強い。
私はオレンジ色っぽいと言われることが多い。
だが、あなたのことを知るうちに私もあなたに染まってゆくような気がする。
そう、補色である、青色に。
もっと、もっと私をあなたの色に染めて。
より深く、もう後戻りできなくなるところまで。
「夏の気配」 #47
私と同じ日に変えた夏の制服
毛先だけ切られたストレートヘア
いつもよりも少しだけ火照りやすい頬
あなたの変化が私に夏を知らせる。
夏が苦手だった。
なんとなく、何もない感じがするから。
思い出が、触れたら消えてしまいそうだったから。
でも、もう怖くない。
日々のあなたの変化が私の思い出になるから。
いつも気にかけてるのだから、思い出が消える前にまた新しい思い出ができるだろう。
いつも、あなたが近くにいるから、怖くない。