「好き、嫌い、」 #39
スキ、キライ、スキ、キライ、スキ、キライ、スキ
……大好き―――♪
2025年3月6日 木曜日。
あなたからの52日振りの連絡。
インスタのノートに流した曲への返信。
「この人のあの曲めっちゃいいよ」
もう、冷められて自然消滅してしまうかと思っていた中での連絡。
「スキ」という気持ちを無理やり「キライ」という言葉で抑えていたけど結局は「大好き」という想いが、苦しさが、私にぴったりで流した曲。
2か月話してなかったから、こんな些細なことで連絡が来ると思わなかった。
以来、私は「好き」「嫌い」と聞くとこの曲とことエピソードを思い出す。
「雨の香り、涙の跡」 #38
ぺトリコール、と言うらしい。
いわゆる雨の匂いというやつ。
梅雨の時期によく鼻腔をくすぐる、あの香り。
recall、凍る、ぺトリコール。
あの曲の一節。
それで思い出したが、雨上がりに紫陽花に残る雨粒は、まるで泣いたあとのよう。
されど、それは酷く美しい。
あなたは紫陽花みたいな人。
一途なのに、きまぐれで移り気で、寛容に受け止めてくれて、元気な女性。
そして、泣き腫らした後の涙の跡でさえも美しい、私の最高に愛おしい人。
「糸」 #37
貴女の、大好きな友人と繋がる糸。
貴女の、妹のような友達と繋がる糸。
貴女の、何でも言える親友と繋がる糸。
貴女の、好きだったあの子と繋がる糸。
貴女の、頼っている家族と繋がる糸。
貴女の、尊敬する先輩と繋がる糸。
貴女の、大切な後輩と繋がる糸。
貴女が嬉しそうに話すのが私のことだけならいいのに。繋がっているのが恋人の私だけならいいのに。
私以外との関わりの糸を、全て切ってしまいたい。
「届かないのに」 #36
大好き。愛してる。可愛い。愛おしい。恋しい。寂しい。嫉妬する。しんどい。苦しい。いたい。
お願いだから、あの子と話さないで。
その笑顔を私にも向けて。
嫉妬で人を嫌いになりたくないの。
私だけ見ててよ。
あなたに届けるのは、ほんの僅かな好意だけ。
届かないのに、届けないのに存在してしまうこの感情がうざったい。
「記憶の地図」 #35
LINE、DM、そして私の微かな記憶。
SNSはあなたのことを思い出すのにとても便利だ。
あの時どんな話をしたっけ。
こう言っていたのはいつ頃の話だったかな。
私の記憶に溺れているキーワードを探す。
見つけたら、そこからあなたとの思い出が蘇る。
あなたのことを見失ったら過去の会話を見返そう。
きっと履歴は地図のように、私をあなたまで案内してくれる。