「恋か、愛か、それとも」 #23
この甘い感情は本当に恋なのだろうか。
この熱い想いは本当に愛なのだろうか。
それともただの自己満足なのだろうか。
同性を好きになって真っ先に思ったことだった。
異性愛が当たり前と言われる中、この感情は本当に恋と呼ばれるものなのかと不安を感じた。
この想いは愛ではなくただの自己満足ではないかと疑った。
でも、あなたと過ごしていく中で思う。
これを恋と、愛と言わずに何と言うのだろう。
やっぱり私はあなたが好きだと。
「約束だよ」 #22
約束。その言葉のなんと甘やかなことだろう。
明日、また連絡するからね。
来週、また通話しようね。
~日、ここ集合で。
半年記念日、デートしよ。
次のテスト、一緒に勉強しようよ。
次はそっちから、手を繋いでよね。
次は自分から、先に言うから。
私の手帳は、君との約束でいっぱいだ。
「傘の中の秘密」 #21
まだ、ただの知り合いだった頃の話。
急な雨で、傘を持っていなかった君が困って立ち尽くしてたから、思わず声をかけちゃった。
「もし良ければ、一緒に駐輪場までどう?」
そんなに話したこともなかったから、君はびっくりして困惑してた。
でも少し逡巡してから「うん。ありがとう」と返してくれた。
ぎこちない空気の中、他愛のない世間話をする。
一瞬だけ、君と私の手が触れ合う。
偶然に過ぎなかったけれど、私の胸がとくりと控えめな音を立てる。
あの時に恋に落ちたのかもしれないことは、私と1本の折りたたみ傘だけが知っている小さな秘密。
「雨上がり」 #20
今、あなたに雨が降っている。
とてもとても悲しいことがあって、それがあなたに雨を降らせている。
雨は嫌いじゃない。
でも、晴れの方が好き。
そして、虹はもっと好き。
だから、すぐにじゃなくていいから泣き止んで。
雨もいいけど、あなたには青空の方が似合うから。
あの太陽みたいな笑顔で笑ってみせて。
「勝ち負けなんて」 #19
人に勝ち負けはないなんて分かりきっている。
人に優劣をつけるべきではない、ということは分かっている。
でも、1番になりたい。
あの子に1番好かれたい。あの子に1番愛されたい。あの子に1番慕われたい。あの子の1番でありたい。
みんなからあの子を勝ち取りたい。
オンリーワンでは物足りない。ナンバーワンの存在でありたいのだ。