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5/28/2025, 10:08:54 AM

「さらさら」 #16

ひとつに結わえた、あなたのストレートヘア。
さらさらと、私の指から零れ落ちてゆく。

色白で、たまに少しだけ赤くなる、あなたの頬。
さらさらと、私の頬と触れ合う。

まっすぐで、少し重たいような私の気持ち。
さらさらと、あなたの心から滑り落ちてゆく。

私の愛は、伝わりきってないみたい。

5/27/2025, 12:48:31 PM

「これで最後」 #15

これで最後にする。玉砕覚悟の告白。
あなたへの気持ちにけりをつけるから。

長かった。
好きになってから1ヶ月と1週間。
好きバレしてから2週間と5日。
日数に直したら38日と19日。そんなに長くないな、と、ふと思った。

自分が好かれてるってことに気付いてびっくりしてたね。ちゃんと告白するって言ったら待ってるって言ってくれたの、嬉しかったよ。

でも、叶わない恋だってことは分かってた。

相手は同性。その上関係はただの友達。
叶わないのを、傷つき傷つけることを覚悟で告白。


なんてことを考えていたのが懐かしい。
私の去年の最高のクリスマスプレゼントはあなただったの。
最後なんてないから。最期までよろしくね。

5/26/2025, 10:10:22 AM

「君の名前を呼んだ日」 #14

名字、名前、あだ名…
さん付け、ちゃん付け、呼び捨て…
あなたはいろんな名前で呼ばれてる。
でも、あなたを名前にさん付けで呼ぶのは私だけ。

だから、もしも他の人に名前さん付けで呼ばれることがあったら―――



―――私のことを、思い出してよね。

5/25/2025, 1:42:05 PM

「やさしい雨音」 #13

雨が嫌い。昔のトラウマを思い出すから。

雨が好き。あなたと話した日を思い出すから。

2日とも天気は大して変わらなかったのに、前者は酷く恐ろしく、後者はそっと優しかった。

それはきっと、あの人がとても怖かったから。
それはきっと、あなたがとても優しかったから。

あなたの声が魔法となって私の記憶を塗り替えてくれたから、雨音は優しくなった。

5/24/2025, 11:25:56 AM

「歌」 #12

去年の合唱コンクール。
500人の視線が集まる体育館のステージの前で。
私は指揮をした。

震える足、固まる指先、そしてあなたと絡む視線。
そのとき私の心拍数があがったのは、きっと緊張のせいだけではないだろう。

なんとか動かした指先が、みんなに歌を紡がせる。
ソプラノの主旋律、男声の裏拍。
それからアルトの、いや、あなたのハーモニー。

もっとあなたの声に集中したかった。けれど、そうするには少し邪魔が多かった。

だから今度は、私と二人きりで歌ってほしい。

あなたで満たされたいから。
君の隣にいたいから。

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