あいつは本当に気にくわない。俺が最も嫌う人間だ。
非の打ち所がないほどの優等生でありながら
周りを笑わせるような明るさも持ち合わせているのだ。
まさに完璧としか言いようの無いさまに嫌気がする。
けど、それだけなら俺は別にどうでもよかった。
問題なのは、あいつが俺と同じでサッカー部に入っていること。
そのせいで俺はいつも打ち負かされている。
キャプテンになるためにいくら頑張っても追いつけなかった。晴れてキャプテンになったあいつを
そのうち俺は悔しくてしょうがなくて妬むようになった。早くから朝練をする俺にあいつは申し訳なさそうに謝ってきた。
たしかにあいつの活躍のおかげで大会に出場できることになった。
けど、
こんなやつと手を取り合うつもりは毛頭無い。
モンシロチョウといえば、
私が幼稚園生の頃習っていたバレエ教室で
踊った曲のテーマがそういう感じの曲だった思い出が、、
いつまでも、忘れられない。
あの日はきっと、
胸の中に。
一年後、、? 変なことを聞くね、君は
僕、あんまり先のことは考えたくないんだから
よしてくれよ。
この先、自分がどうなるのかわからないしさ。
今を大事に生きたいんだ。わかるだろ、?
不確かなものにはなるべく期待したくない。
まぁでも、、白状をすると
一度も考えたことがないわけじゃないよ。
本当なら、すぐにでも家に帰れるようになりたいし、
学校で勉強したい。
この生活に満足しているんじゃないからね。
けど、一年後も、そのまた一年後も、
きっと僕は変わらないよ。
僕と同年代の子達ならこの時期は
いろんなことができるようになってるはずなのに、
それどころか僕の体はどんどんできることがなくなっていく。
、、こんな状態で、一年後、
僕が外に出られるようになってるとは
到底思わないだろ?
医者も言ってた。どんどん悪化していってるってさ。
、、、別に卑屈になってるつもりはない。
現実を見てるだけだから僕は。
そうだなぁ、、
やっぱり一年後は僕じゃなくて
君が退院できてるだろうね。
大丈夫。
僕も君が退院するまでの間くらいは
先を見据えて頑張るよ。
初恋、か。
あたしのそんなこと知りたいの?
相変わらず物好きですな、、
あーはいはい!わかったわかった!
言えば良いんでしょ!言えば!!!
じゃあ、、話すけど
ほんと誰にも言っちゃダメだからね!
、、、あれは、多分。中学の三学期の頃だったと思う
やっと期末テストが終わってちょーぜつ
嬉しかったの、今でも覚えてるんだけど。
でもちょっと悲しかったんだよねー、、
もうこのクラスのみんなと過ごすのも
あとちょっとしかないんだって思うとさ。
まぁでも三年生になったらなったで、絶対楽しいと
思うんだけどね、?
まだ将来の不安とか、勉強とか、先輩になる不安とか
あって、、。
三年生になったら部活にも長くはいられないし。
って違う違う、!!そんなことはどーでもいいの!
話逸れちゃった、、
とにかくテストが終わってうきうきで
帰ろうとしたんだよ、あたし。
それでリュック背負ってから気づいたんだけど、
机に赤ペン置いたままにしちゃったわけ!
けどさ?セーラー服だしもう一回リュック下ろして
制服の襟整えんのめんどくせー!って思っちゃって。掃除当番も今日無いしいっか、てなノリで
机に置いたままにしたんだよねー。
そんで帰ろうとしたらよ?
隣に戯れてた男子のうちの一人の
あたしとはまるでかけ離れた、クラス1頭のいい
雨田がさ!!!
「忘れてるよ?」って言ってペン手渡ししてくれたの!
え?あーそっか、同じ中学じゃないから
雨田のこと知らないもんね、忘れてた忘れてた、、
えーと、雨田はさっき言った通り
馬鹿な私とは違ってめーっちゃ頭いいし、
みんなにそこそこ人気あるし。
でも先生にちょっと生意気いうところあって、、。
というか!私、優等生的で真面目な人好きなんだよね!!そういう人が元からタイプで、、
ほんとおかしーでしょ?
こんなスポーツばっかやっててうるさいだけの不真面目な私がそういう人がタイプとか、、。
笑っちゃうよね〜
だからかな、、?
雨田にはいつもうるさいって注意されちゃうんだよね
やっぱり自分ではさ
あんな風に忘れ物をとってくれるなんて
思ってもみなかったし。
その、ギャップっていうか、、。
その瞬間、胸の奥がキュってなって、
きっとあれが私の初恋だと思う!!
、、でも結局三年生になったらクラス離れちゃったからなー。
そこから全然会ってないし、。
やっぱり結ばれるなんてことあるわけないよね。
ほら?あたしの初恋の話なんて
つまんないでしょ?
『もぉ、、そんなしょげた顔しないのー!
いい話じゃん。
にしてもこんな乙女な一面があったなんてねー?
私嬉しいよ、、』
えー?なにそれ〜笑