「バカみたい」
名もない弱小校。連敗続きな私達は体を動かすことだけで十分。顧問は常に不在で、コーチはいない。
そんな設備もクソもない高校で勝利を目指す方が稀であり、 輪に馴染めない。
そんな中一人だけ。一人だけ輪に馴染めない奴がいた。朝、体育館から聞こえるシューズの擦れる音。その音は常に一つだった。夕方、日が暮れるまで鳴り止まないシューズの音に周りはヒソヒソと声を潜め、嘲笑った。
私もしかり。
周りの同調圧力に流され嘲笑った。
(私は馬鹿だ。)
そして
(あいつも莫迦だ。)
弱小校だからと練習もせず、同調圧力で嘲笑う私も、チームプレーをする仲間を持たず勝利を目指すあいつも、どちらもバカである。
#バカみたい
涙が止まらない。
これは君のせい。
刃物を持った私の手が君の背に突き刺さる。
君は声も出ずに伏せる。
もっともっとと君に突き刺す刃物。
未練なんてさらさらないのに止まらない涙。
誰かこれを止めてくれ。
(この後ハンバーグにして美味しくいただきました♪)
#涙の理由
「好きだ」
ポツリと出てしまっては後悔しても遅い。
君は目を丸くしている。その瞳はキラキラして光が反射しているようだった。
「えへへ、私も好きです。コーヒー」
次はこちらが目を丸くする番。あぁ、こんなに純粋無垢な人、世界中を探してもいないだろう。僕は目を細めた。
コーヒーが冷めないうちに、今度は君に届くように伝えよう。
「君のことが__」
#コーヒーが冷めないうちに
魔法はいつかとけてしまう。
何度もあなたに語りかけた灰被りの少女の話。
あなたを迎える日を待ち遠しく待っていた日々。
あなたに会えるならどんな苦痛も耐えきれた。
でも、魔法は一瞬にして解けてしまった。
時計の針が重なった頃、解けてしまった。
苦痛にも耐えたの。あなたに逢いたくて。
ただ、声を聞かせて欲しかった。
「よくあることよ。」とかけられる声。
現実が私を悲劇のヒロインにしてくれなかった。
#時計の針が重なって
ぽちゃん
どこかで水の音がした。
「どうしたの?」
そう言って翡翠の双眼がこちらを覗く。どこかで見た透明な美しさ。
(あぁ、思い出した)
その既視感は、あの日海に捨てたビー玉だった。
胸をこがれる思いで捨ててしまったあの恋心だった。
#夏の忘れ物を探して