キキー


八月

耳の奥から木霊する耳障りな音

鮮明に思い出す

目の前に広がる赤

大きく音を立てる心臓

ばく ばく ばく

痛い 痛い

頭の中で言おうとしても声が出ない


九月

ねぇ、早く起きてよ

病室の白い天井の下

縋り付くような 泣きそうな声が響く


十月
十一月
十二月

親友は ぼく の目覚めをずーっと待ってた

ぼく は上の上の

病室よりも真っ白で心地の良いとこ


親友が 消えてしまいたい と言う


" たとえ間違いだったとしても そんなこと言わないで "




そう ぼく が言ったって

親友には届かないのに


生きて欲しい
楽しく過ごして
笑って
いっぱい いっぱい


いくらそう願っても

死んでしまった ぼく の声は届かない

ぼく 達死んでしまった人達は

君達に泣いて欲しいんじゃない

悲しんで欲しいんじゃない

ただ

ぼく 達の分まで

幸せに長生きして欲しいだけなんだ


たとえ間違いだったとしても

ぼく 達みたいに苦しい思いはしないで欲しいな

ぽたり ぽたりと零れる しずく

ぽたり ぽたりと溢れる しずく

ぴちゃ ぴちゃと地に落ち 乾いていく しずく

もし その しずく が ずっと ずぅっと 落ちた時

足元に大きな水溜まりができている

ぽたり ぽたり ぴちゃ ぴちゃ

あれ 、ぼくの足元にも しずく が落ちている

今日は雨 降ったかなぁ